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〈今季J1出場ゼロの19歳A代表初陣〉鈴木彩艶と西川周作36歳…「日本代表クラスが2人」森保監督も認める浦和GKのハイレベルな背景は?
posted2022/07/20 17:23
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
今シーズンのリーグ戦未出場の選手が代表戦のピッチに立つ。しかもそれが代表デビューだなんて、ここ30年の日本代表の歴史を振り返っても記憶にない。
だが、逆に言えば、この19歳のGKには日本代表監督が試したくなるだけのポテンシャルと魅力があるというわけだ。
「呼ばれたからには試合に出る気持ちで」
「呼ばれたからには、経験で終わらせるつもりはないです。勝負するつもり、試合に出る気持ちでやっていきたい。自分自身がチャンスを掴めるかどうかなので、1試合目(香港戦)まで2日しかないですけど、アピールしていきたいと思っています」
東アジア4カ国によるE-1サッカー選手権の開幕前最後のリーグ戦となった7月16日の清水エスパルス戦のあと、この日もベンチを温めた浦和レッズの鈴木彩艶はそう意気込んでいた。そして見事、7月19日の香港との初戦でチャンスを掴み取った。
「(6月に行われた)U23アジアカップも招集のポイントとなる試合として視察した。実際、アジアでの戦いの中で彼がハイパフォーマンスを見せていたので招集しました」
代表チームを率いる森保一監督はそう説明した。彩艶は2年後のパリ五輪を目指すU-21日本代表の守護神として、ウズベキスタンで開催されたU23アジアカップで銅メダル獲得に貢献したばかり。浦和レッズジュニアの1期生として小学5年生で加入してからレッズ一筋で、常に飛び級で年上のチームに引き上げられ、高校3年生だった2020年はシーズンを通してトップチームに帯同した。
年代別代表としても17年U-17ワールドカップ、19年U-17ワールドカップ、19年U-20ワールドカップ、21年東京オリンピックのメンバーに選ばれ、10代半ばから将来の日本代表守護神として期待されてきた。
いわば、香港戦での代表デビューは、約束された未来でもあったのだ。
西川も36歳ながら進化を遂げている
そんな彩艶の前に立ち塞がっているのが、元日本代表で、レッズの正GK西川周作である。
レッズは早く彩艶をレギュラーに抜擢すべきだ――。
そんな声も聞こえてくるが、今季のレッズの試合をつぶさに見ている人なら、分かっているに違いない。彩艶も伸び盛りだが、西川も36歳ながら進化を遂げているということに。