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「子供が好きすぎて子離れできない」W杯ベルギー戦“つま先ゴール”から20年、鈴木隆行46歳は今…ぶっきらぼうなFWは2児のパパになっていた
text by
高川武将Takeyuki Takagawa
photograph byKisei Kobayashi
posted2022/07/02 17:04
都内のサッカーバーで深夜23時から取材に応じた鈴木隆行
「愛情があれば、厳しいことを言うときも言葉が変わるし、選手のとらえ方も変わる。こっちが本気で思っていたら、絶対に伝わるはずだから。ただ、間違えないようにしないといけない。自分がそう思っていても、相手が同じように受け取っていないこともありますからね」
――難しいですよね。愛の伝え方は。
「うん。そこは、園児と接するように、プロを目指す選手にも接する」
閉店の1時を過ぎ…
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――今、子供の指導を10年は続けるという一方で、将来はトップクラブの監督という夢もある。5年後、10年後、また状況は変わっていそうですね。
「そうじゃないと困りますよね。でも、どうします? 俺が横柄な態度とるようになっていたら? 老害みたいになってたりして(笑)」
――俺ほど熱心に子供の指導をやってるやつはいねえんだ、とか(笑)。
「やめよう、それだけは(笑)。また16年後に話を聞いたら、全然違うこと言ってたとか、やめてくださいよ(笑)」
そう言って笑った後、鈴木は真剣な表情になってこう言った。
「もし、本当にそんな風になっていたら、また言ってください。あのとき、こんなこと言っていたじゃないですかって。俺に知らせてくださいよ」
そんなことはないだろうと思いながら、もちろん、私は了解した。
幸せなひと時はあっという間に過ぎていく。16年の空白を全く感じない、熱くて、深くて、楽しいやり取りをしているうちに、あれほど賑わっていた店の客は一人もいなくなり、閉店の1時を過ぎたところでインタビューはお開きとなった……はずだった。だがその後、鈴木のファンだったという30代後半の店長も交え、昔の想い出話に花が咲いて、16年ぶりの夜は更けていった。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。