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《特別グラビア》“青学卒→グラドルデビュー”で勘当も…スターダム・白川未奈が語った両親への感謝「いつか試合を見に来てほしい」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/07/03 11:00
青山学院大学を卒業後、一般企業への就職、芸能活動を経て30歳でプロレスラーとなったスターダムの白川未奈。34歳の今もまだまだ夢の途中だ
ライガーやムタにインスパイアされ“変身”
白川は、ライガーのもうひとつの姿でもある「鬼神ライガー」の姿にも大きく影響された。
「いつだったか、DVDでグレート・ムタと鬼神ライガーの試合を見て、私もああなりたいなぁ……と思ったんです。すごく影響されました。ムタのフィギュアも鬼神ライガーのフィギュアも持っています。動くやつですよ(笑)」
これまで白川は2度、もうひとりの自分に“変身”している。それぞれ、中野たむとMIRAIが相手のときだった。
「今では『ブラッディ・エンジェル』とか、『鬼神ちゃんみな』って呼んでくれているファンもいます。なんで“変身”したのか? 中野たむとの白いベルト戦のときは、特別な感情があったからですね。彼女は先にスターダムにいたし、ずっと私の前を歩いている。私のなかに、焦りに似た思いがあるんです。タッグパートナーとして選んでくれたけれど、きちんと並び立てていない、って。中野たむは岩谷麻優とかジュリアの方に視線を向けている。未奈のこと大事だよ、と言ってくれるけれど、本当の意味で一番のパートナーにはなれていない」
白川は“普通”のままでは埋められない、深い溝のようなものを感じていた。
「中野たむの度肝を抜いてやろう、と。どうしてもこの人に勝ちたい。そんな思いで、ああなったんです」
では、どのタイミングでスイッチが入ったのだろうか?
「当日じゃないですね。記者会見でスイッチが入っちゃうんです。会見の後から試合までは、イライラするのでなるべく人と会わないようにしているくらい。危ないお姉さん? うーん、そうかもしれない(笑)。そのときの精神状態は普通じゃないです。素の状態の自分がブラッディ・エンジェルの姿を見たら、キモいと思うんじゃないかな(笑)」
いまだ未勝利の後輩・月山和香への思いも
白川が所属するコズミック・エンジェルズは、カラーズの面々と連合軍を結成してメンバーが一気に増えた。傍目からは戦力アップという印象だが、本人には別の思いがある。中野たむ、白川、ウナギ・サヤカの3人体制のコズエンには、今にはない“勢い”があったからだ。
「今はむしろ危機感があります。2021年は『週刊プロレス』のユニット人気投票で、新日本プロレスのユナイテッド・エンパイアやロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを抜いて1位になった。それなのに……」
たしかにユニットとしては安定感が出てきた。だが、その安定感が逆に面白みに欠ける一因なのか。「がむしゃらにやってきた個々から、チームとして頑張ろう」という姿勢がマイナスに作用しているのかもしれない。