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[ロベルト・カルロスの視点]ブラジルの栄光と蹉跌
posted2022/07/02 07:02
text by
藤原清美Kiyomi Fujiwara
photograph by
JMPA
'02年日韓大会を最後に、W杯の優勝から遠ざかっている王国。20年という時間、セレソンはいかなる変化を遂げてきたのか。史上最高のサイドバックと呼ばれたレジェンドの言葉で振り返る。
世界で唯一、W杯全大会に出場し、最多5度の優勝を経験するブラジル。エンブレムの上に輝く5つの星は、サッカーの国と呼ばれるブラジルの誇りを象徴している。
しかし、'02年の優勝を最後に、近年はトロフィーを掲げることが出来ずにいる。'06年はフランスに、'10年はオランダに敗れ、準々決勝で姿を消した。'14年は自国開催だったが、ネイマールの負傷離脱後、準決勝でドイツに1-7の歴史的大敗。'18年は準々決勝のベルギー戦で敗退した。
この20年間、W杯でのブラジルに何が起こっていたのか――。
'02年日韓W杯で主力の一人として優勝に貢献したロベルト・カルロス。自身2度目のW杯となった同大会でブラジルが栄光に輝いた要因を、彼はこう分析する。
「セレソンを取り巻く環境、チームの雰囲気、プレースタイル、全員のプロ意識や責任感、友情。全てが完璧だった。厳しい試合もあったけど、結束力で乗り越えた。そして、全員がサッカーを心の底から楽しんでいた。そういう状況を生み出したルイス・フェリペ・スコラーリ監督が素晴らしかった。彼は独特のユーモアと生真面目さを併せ持つ人物で、ピッチの内外のあらゆる困難に瞬時に対応できる監督だった」
ブラジルの伝統の4バックではなく、守備的だと批判された3バックを採用しながら、攻撃的なチームを作り上げたスコラーリの手腕。だが、ロベルト・カルロスがもっとも印象に残るのは、チーム内の絆だ。