長身選手が多い中での苦労はもちろんある。ディフェンスをかわしたつもりでもシュートをブロックされたり、日本では通っていたようなパスでも思わぬところから手が出てきて阻止されたりする。かと思えば、ペイント内に攻めこんだときにブロックを恐れて外にパスを出すと、相手に読まれてスティールされたりもする。日本でやっているときより1人の選手が守っているスペースが広いため、パスを出すタイミングも重要だ。

「タイミングがちょっと違うだけでスペースが狭くなったり、パスを出すタイミングがなくなってしまう」と、その難しさを語る。パスでもシュートでも瞬間的な判断力が必要とされるのだ。

©︎Getty Images

　5月6日の開幕から約1カ月半がたち、シーズンの半ばを過ぎたところだが、未だに自分の持ち味をチームの戦力として生かすためにどうしたらいいのか、試行錯誤の毎日だと言う。

　表からわからないようなことでも、自分の感触としてこの1カ月半で上達したと感じるところはあるかと聞くと、町田は「いやぁ……」と言って少し考えてから、「今はないかな」と苦笑した。

「今の自分のプレーが全然よくないので、上達したと思えるところはないと思います。まだまだ課題だらけだなって思います」

町田が直面する「迷い」とは？

　現時点での一番大きな課題は「迷い」だ。試合中に迷いながらプレーしているため、自分のよさを出せていないのだ。

6月27日時点で12チーム中、リーグ5位（12勝9敗）につけるワシントン・ミスティック。限られた出場時間の中で存在感をアピールしていきたい　©︎Getty Images

　たとえば、コーチからはノーマークになったら躊躇せずにシュートを打つようにと言われている。スピードを生かしたドライブインやパスを得意とする町田にとって、外からのシュートはどちらかというと苦手分野なのだが、得点する意思を見せないとディフェンスから見て守りやすくなり、ほかのプレーも生きてこない。ただ、なんとか苦手なことを克服しようとするあまり、自分のプレーができない試合が続いた。

「自分のプレースタイルじゃないことをやろうとしているので──。そこはもちろん大事なんですけれど、オフェンスのリズムやテンポを速くしたりというところに意識がいかずに、シュートを打たなきゃとか、得点しなきゃみたいな意識が強すぎて、ゲームコントロールやペースづくりがうまくできていない」と反省した。

【次ページ】　ミスを恐れると自分らしさが出せない