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「ラグビーは大好き。でもラグビー界は好きじゃない」畠山健介はなぜ軋轢を恐れず発言してきたのか…今後は“スクラムの調律師”に?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/06/22 11:02
欧州や米国でのプレー経験をもとに、日本ラグビー発展に向けたアイデアを口にした畠山健介(36歳)
畠山は中学時代にバスケットボールをプレーしていたこともあり、アメリカでプレーしていた時期には、地元のボストン・セルティックスの応援にも駆けつけた(先日のNBAファイナルでゴールデンステート・ウォリアーズに敗れたが、畠山のセルティックスへの入れ込みっぷりはハンパない!)。
アメリカのプロスポーツは、競技力の優劣だけを競っているのではないと畠山は分析する。
「僕は『愛されるチーム』になることが大切だと思っています。たとえば去年のNBAでは、ミルウォーキー・バックスが50年ぶりに優勝しました。50年ぶりですよ。でも、その間にバックスの人気がなかったかというと、そんなことはない。地元ミルウォーキーではみんなが応援していて、ようやく優勝出来たから、それは街にとっての大、大ニュースであり、誇りになります。
愛されることで、チームは持続可能になります。弱かったとしても、ファンが自分を投影できるようなチームであれば、愛される。日本でいえば、阪神タイガースや広島カープは愛されているチームですよね。ラグビーでも、強さだけではなく、たとえ弱くても愛されるチームが出てくることが必要な気がします」
「ディビジョン制をやめたっていい」
今季、NBAは75周年を迎えたが、畠山は同じようにリーグワンが持続可能な組織になって欲しいと願っている。
「そのためにはリーグのプラットフォームのデザインが大切だと思うんですよ。アメリカのプロスポーツには入れ替え戦がありません。メジャーリーグ、NFL、NBA、みんなそうです。地元で愛されるように長期的かつ継続的に努力し、それがひいてはリーグ全体の繁栄につながる。リーグワンも、ディビジョン制をやめたっていいと思います。手を引くところが実際に出たわけですから。
それと分かりやすさも大切です。NBAのように東と西のチャンピオンを決めて、東西王者が激突するファイナルで日本一を決める。いまリーグワンは首都圏に強いチームが多いですが、分かりやすさでアピールするならば、東と西に分けて優勝を決めてもいいかもしれません」