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<ノーヒットノーラン>「人間って、自分の機能をあまり上手に使っていない」山本由伸23歳が語っていた“理想の投球”とただ一人の「特別」な投手とは

posted2022/06/19 11:04

 
<ノーヒットノーラン>「人間って、自分の機能をあまり上手に使っていない」山本由伸23歳が語っていた“理想の投球”とただ一人の「特別」な投手とは<Number Web> photograph by KYODO

6月18日、西武戦でノーヒットノーランを達成したオリックス・山本由伸。四球1個、球数は102球というほぼ完璧な内容だった

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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KYODO

6月18日、オリックスの山本由伸投手(23)が、西武との試合で史上97度目(86人目)のノーヒットノーランを達成しました。これを記念し、これまで有料公開されていたインタビュー記事を、特別に無料公開します《初出『Number』1052号(2022年6月2日発売)/肩書などはすべて当時》

プロ5年目の昨季は記録ずくめの1年となった。投手五冠に加え、満場一致で沢村賞も初受賞。球界屈指の右腕が追求する理想の投球とは何なのか。常に自分を更新し続ける剛腕の根幹と進化を探る。

◆◆◆◆◆

 23歳にして日本シリーズという舞台を経験したからだろうか、山本由伸に「理想の投球」のことについて問うと、1球、1球の質よりも、試合の勝ち負けについての答えが返ってきた。

「絶対に負けられない試合、優勝がかかった試合。そこでいい投球が出来るかどうかだと思うんです。去年は、レギュラーシーズン最終戦のイーグルスとの試合、マリーンズとのクライマックスシリーズ、そして日本シリーズといった舞台で、相手に点を与えないことを意識していました。とにかく、自分が投げるゲームを勝ち取る。それが大切なことです」

昨季は最多勝(18勝)、最優秀防御率(1.39)など投手五冠

 昨季、山本は最多勝(18勝)、最優秀防御率(1.39)など投手五冠を達成。しかも、5月28日のヤクルト戦に勝ってから、レギュラーシーズン、CS、日本シリーズを通して負けなし。そして年をまたいで、今季4月9日まで18連勝を達成していた。

「去年は自分の投球でゲームを作れたのが良かったですね。連勝中は相手にリードする場面をほとんど作らせなかったので(注・山本が先発した試合で、両軍の攻撃を終えてリードを許した場面は、たった1度だけだった)。カードの最初の試合に登板することも多いので、出来るだけ長いイニングを投げて、ブルペンの負担も減らしたいと思ってます」

 長いイニングを投げることについてまったく不安を感じさせないのも、山本の強みだ。昨季の日本シリーズ第6戦で141球を投げ、しかも終盤に入って相手の中軸を完璧に抑えるなど、尻上がりに調子を上げていった。山本には無尽蔵のスタミナが眠っていると言われるが、「それは、ちょっと違うんですよ」と山本は言う。

【次ページ】 「『山本はスタミナがない』とも言われました」

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