今年はどの陣営も契約更改となる選手が多く、契約交渉のスタートは早かった。そんな状況の中でスズキが今季を最後に撤退することを発表。ヤマハのサテライトチームであるRNFも来季からアプリリアのマシンにスイッチすることが発表された。

　日本のメーカーに勢いがないところにきて、ホンダのサテライトチームであるLCRホンダから参戦する中上も、来季のMotoGP構想にないとする報道が渦巻く。そんな状況で中上がMotoGPでの生き残りをかけてパフォーマンスを見せようとしているのは誰の目にも明らかだった。

　中上はホンダの契約選手で、出光をスポンサーにするLCRホンダから出場している。最近の傾向として、メーカー契約でサテライトチームから出場するというのは珍しくない。サテライトチームの負担を減らすため、さらに将来有望な若手をキープするという戦略もある。つまりこの5年間、中上はホンダの契約ライダーの一員として出場し、そのカテゴリーがMotoGPクラスだった、ということになる。MotoGPライダーとしてホンダと契約しているマルク・マルケスやポル・エスパルガロとは、同じカテゴリーを走っていても内容が大きく異なる。

フランスGPでは今季ベストタイとなる7位フィニッシュ。今季不振のホンダ勢にあって、中上は健闘していると言える

残り1枠を争う3人の候補

　中上は来季以降もホンダの契約ライダーの続行は可能だが、MotoGPクラスに出場できるかどうかは別の問題である。MotoGPクラスで戦い続けられるかどうかはホンダの意向にかかっており、ホンダのラインナップに中上の名前がないとすれば、他のチームでシートを探さなければならないが、それはあまりにも現実的ではない。

　すでにパドックでは、出光をスポンサーにする1枠に誰が乗るのかが取り沙汰されている。Moto2クラスでチャンピオン争いをする小椋藍の昇格、チームメートでタイ人としては初のGP優勝を達成したソムキャット・チャントラの名前が挙がっている。LCRホンダは現在、カストロールをメインスポンサーにアレックス・マルケス、出光をメインスポンサーに中上という体制だが、現状では出光の枠に3人のアジア人ライダーの候補がおり、もし現状通り1台体制なら小椋が最有力候補、というのがパドックの既定路線でもある。

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