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「またお前か、ってため息が出る」鳥かごが“一番下手”なのに不動のレギュラー!? J1広島スピードスターMF藤井智也の“長所を伸ばす力”
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE
posted2022/06/01 11:00
広島の右サイドで躍動するMF藤井智也(23歳)。50m5秒台の俊足を生かしたドリブルが武器
自分を取り戻した藤井は、徐々に出場機会を増やしていく。5月23日J1第15節セレッソ大阪戦以降は、スタメンの座をガッチリと掴み取り、左右のウィングバックとしてリーグ29試合、うちスタメン出場は24試合というルーキーとしては堂々たる成績を残した。
そして、今シーズンも広島の右サイドで疾風怒濤のアタックを見せている。
「特別指定を含めたら、今年は3年目になります。目標はタイトルを取ること。サンフレッチェはサッカー観や長所をさらに伸ばしてくれたチーム。このクラブで、このスタッフ、この選手で、そしてサポーターの皆さんと一緒にどうしても優勝をしたいんです。そのために僕はこれからも長所を磨き続けます」
一番下でも、一番上になれる。藤井が人生の教訓としている言葉は「置かれた場所で咲きなさい」である。
「鳥かご練習でのため息? そりゃ、今でもしんどいですよ(笑)。『下手だな~』と思いますもん。でも着実に上手くなっている手応えは感じています。短所を完璧にすることは難しい。だから長所を磨くしかない。長所が突き抜けていれば、ヘタクソな自分でも監督はこうやってスタメンで使ってくれる。自分の武器を発揮することに集中できれば、自然とプレーの幅がどんどん広がっていくし、ピッチ上で自信を持ってプレーできると思っています」
今や、サッカー少年なら誰もが知る紫色のユニフォームを纏って疾走する藤井智也。これからどんな色の花を咲かすことができるか。長所を磨くことの大切さを、ピッチで示し続けていく。