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「キングカメハメハは『絶対に勝つ』と確信していた」安藤勝己が語った“ダービーを勝てる人馬”の条件「やっぱり運も必要かな」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa
posted2022/05/27 11:20
“アンカツ”の愛称でおなじみの元ジョッキー安藤勝己。通算4464勝(JRA1111勝)をあげ、現在は競馬評論家として活躍している
アンカツが語る「ダービージョッキー」の条件とは
では、ダービーを勝てる騎手は、どんな騎手だと考えているのか。
「一番は馬との巡り合わせでしょう。10回以上乗ってようやく勝てた人も、ぼくのように3回目で勝てたのも、たまたまそうなっただけだと思う。ぼくに関して言うと、ダービーを特別視していなかったからよかった部分もあったかもしれない。地方出身ということも関係していたのかな。内田博幸君や岩田康誠君だって、わりとすぐに勝ったでしょう。それに対して、JRA生え抜きの若手は、デビューしたときから『目標はダービーを勝つことです』と言う騎手が多いですよね。そう思うと、かえって遠いタイトルになるのかもしれない」
自身の現役時代と引退後を含めたダービーで、「これは上手く乗ったな」と感心したのは、'14年に勝ったワンアンドオンリーの横山典弘だという。
「それまでと違って、先行して勝ったでしょう。ポジションをとりに行ったら掛かってしまって惨敗するかもしれないけど、一か八かの競馬をして、ギリギリのところで我慢させた。先行有利な馬場で、ある程度ハマったというか、横山君がハメる乗り方をしましたね。あの競馬をしていなかったら勝っていなかったと思う。ダービーを勝つためには、馬の強さが一番で、あと、3歳春のこの時期に成長して調子を上げてくることも求められる。それと、やっぱり運も必要かな。'10年のエイシンフラッシュはラスト3ハロン32秒台の瞬発力で勝ったけど、ああいうスローな流れになっていなかったら、わからなかったと思いますよ」
最後に、今年のダービーはどの馬が勝つと思うか訊くと、こう即答した。
「アドミラブルでしょう。青葉賞、強かったよね」
初騎乗でダービーを制したミルコ・デムーロが鞍上だ。勝てば、歴代単独2位のダービー3勝騎手となる。そうした視点からも注目したい。
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