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「いまでも英語は全然話せないです…」伊東純也の自宅で見つけた英語のテキスト 人見知りの29歳はベルギーで4年目、なぜ適応できたのか?
posted2022/05/06 17:01
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
Getty Images
代表史上タイ記録となる最終予選4戦連続ゴールによって、一躍日本代表の顔となった伊東。“戦術・伊東純也”というフレーズが流行するほど有名になったが、反面、そのキャラクターはまだあまり浸透していない。
無理もない。伊東はもともと人見知りで、コメントを求められても困ってしまうところがあるからだ。学生時代にトレセンに呼ばれたときも、「友だちがいないから」という嘘のような理由で参加しなかった逸話がある。
私は仕事柄、伊東と何度か会ったことがあるのだが、柏レイソル時代、柏駅前の喫茶店で初めて会ったときには会話が弾まず困ってしまった。
うつむいてボソボソしゃべる彼の言葉は、いまとなってはほとんど憶えていない。ただオフの過ごし方をたずねると、モノの少ない自分の部屋で、いつもゲームをしているか、マンガを読んでいるかということだった。環境が変わるのも好きじゃない、ということも口にしていた。
自宅にあった英語テキスト「いまでも全然しゃべれないんです」
そんな伊東がベルギーに移籍すると聞いたときには、正直、大丈夫だろうかと思った。ヴァンフォーレ甲府から柏ならともかく、ヨーロッパとなると環境は大きく変わる。
だが、いまとなってはすべてが杞憂。ベルギーでのシーズンは4年目を迎え、ヘンクに欠かせない選手としてファンにもすっかり認知された。右サイドのチャンスメイカーとしてはもちろん、この2シーズンは得点源としても大きな役割を果たしている。しかもいまでは代表チームの顔に。柏の喫茶店で出会ったとき、こんな未来が待っていようとは想像できなかった。
海外で活躍するためには、いったいなにが必要なのか。
議論のたびに挙がるのが適応力だ。言葉や食事や気候、そしてサッカーのスタイルにも、もちろん順応しなければならない。では伊東は果たして、なにが変わったのだろうか。
――環境が変わるのは苦手だといってましたが、ベルギーでやれる自信はあったんですか。
伊東 まあ不安はなくて、プレーについてはやれる自信はあったんですよ。でもプレー以外の部分で大丈夫かな、というのはあって……。
――プレー以外というのは、例えば言葉?