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棚橋弘至「ジェイク、新日本に上がってこいよ」 “猪木がいなかった夏”から50年、後楽園ホール還暦祭はプロレス界に何を残したのか? 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2022/04/20 17:00

棚橋弘至「ジェイク、新日本に上がってこいよ」 “猪木がいなかった夏”から50年、後楽園ホール還暦祭はプロレス界に何を残したのか?<Number Web> photograph by Essei Hara

三冠ヘビー級王者の宮原健斗(全日本)とタッグを組んだ棚橋弘至(新日本)。後楽園ホールの「還暦祭」では団体の垣根を超えたドリームマッチが組まれた

「還暦祭」女子プロレスの主役に躍り出たのは…

 棚橋がリーを新日本プロレスのリングへと誘った4月16日の前夜、還暦祭初日の同会場では女子プロレスが9試合組まれ、18時半から22時まで長丁場の熱戦が続いた。

 女子のメインイベントはスターライト・キッド、雪妃魔矢、尾崎魔弓組vs彩羽匠、SAKI、野崎渚組の6人タッグマッチだ。30分の時間切れ寸前で、尾崎の真っ赤な毒霧によるアシストを受けたキッドがSAKIを押さえ込んだ。

 新旧入り混じった選手たちの中心がキッドだった。その急成長ぶりには、驚きさえ感じてしまう。

「還暦祭、きっちり3カウントを取ったのは、宣言通りのスターライト・キッド。私の試合を見て虜になったオマエら、明後日、ここ後楽園ホールでのスターダムの試合があるから、私を見たけりゃその日も来い!」

 このキッドの宣伝が効いたのか、17日のスターダムも盛況だった。

「私は野崎渚と今日で終わらせるつもりはない。いや、終わらせたくないよねえ? 私はずっと見ているからな。フフフ」

 キッドの喋りは止まらない。

「そして、大江戸隊と正危軍、異色のタッグだったけれど、まあ、アリなんじゃねえの。なんかもっと新しい世界を見たくなったし、いいきっかけになったと思うよ。次に会った時はよろしくな。難しいかどうかは、まだ、未知の世界。続きがあるかもしれないよ」

 そう言うとキッドは不敵に笑った。

 2日間にわたって行われたプロレスのお祭りは終わった。

 数えたことはないが、これまでこの後楽園ホールのリングに上がったレスラーは、いったいどれだけいるのだろう。ここには、それぞれの忘れがたい思い出がいっぱい詰まっているに違いない。彼らや彼女たちの戦いをずっと見つめてきた、観客の熱い心と共に。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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