兎　絶対、そこはつつかれると思いましたね。

堂前　おれはそんな思ってなかったな。

――私もまったく気にならなかったのですが、2人の審査員のコメントを聞いて、漫才とはそういうものなのか……と初めて思いました。

兎　市役所に行ったら、いろんな部署をたらい回しにされることってあるじゃないですか。「ワニ」の時は、その感じを出したかったんで、あの動きは絶対必要だったんです。M-1はセンターマイクから離れない方がいいとか、ボケ数が多い方がいいとかよく言われますけど、僕は別にこだわらんでいいのかなと思いますね。勝つコツみたいなのを意識するのが、そもそも嫌なんで。おもしろけりゃいいやんって思っちゃうというか。

堂前　ブチ切れてるの？

兎　えっ？　切れてないよ。

堂前　トーン的にブチ切れてるのかと。

兎　ただ、どっちでもええやんって思ったんですけど、松本さんは、最後くらいはセンターマイクの前で終わった方が……って言ってましたよね。あれは、確かにそうだったなって、ちょっと思いました。

堂前　戻れないこともなかったので。

――今後、センターマイク問題は、どう対処していくつもりなのですか。

兎　何もしないと思います。

堂前　センターマイクを離れた方がいいネタやったら離れますよ。

――とはいえ、あの2人に言われると、そうもいかないのかなと勝手に想像してしまうのですが。

兎　いや、だって、本当に欲しいのは優勝とかじゃないですもん。漫才とはこうあるべきみたいなの守っていたら、みんなそっちの方向ばっかりにいっちゃうじゃないですか。新しい漫才なんて、生まれてこない。そっちの方が点数をつけやすいっていうんなら、もう、それはしょうがないことなんで。

堂前　ブチ切れてる？

兎　え？　だから、ブチ切れてないって。

＜#3へ続く＞

（写真＝山元茂樹）