2021年M-1・全員インタビューBACK NUMBER

なぜ漫才師はスーツを着るのか? スーツ歴1年の“M-1・肉うどんネタ”ロングコートダディに聞く「ナメられなくなった気がします」

posted2022/04/17 17:02

 
なぜ漫才師はスーツを着るのか? スーツ歴1年の“M-1・肉うどんネタ”ロングコートダディに聞く「ナメられなくなった気がします」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

結成12年で初の決勝進出を果たしたロングコートダディ。堂前透(32歳、左)と兎(33歳)。吉本興業所属

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中村計

中村計Kei Nakamura

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Shigeki Yamamoto

史上最年長のチャンピオンが誕生した2021年のM-1。ファイナリスト10組中5組が初登場、また5組が“非吉本”という異例の大会だった。出場した漫才師たちのインタビューから、あの“12月19日”の舞台ウラに迫る。

結成12年で初の決勝となったロングコートダディ。「来世はワニになりたい」のに、なぜか肉うどんに転生してしまうネタで4位になった堂前透(32歳)と兎(33歳)。昨年からスーツを着始めた2人に聞く“漫才師はなぜスーツを着るのか”と“10年前、なぜ一度解散したのか?”(全3回の3回目/#1#2へ)。

――1本目の「ワニになりたい」のネタ、オチの部分が準決勝とは違いましたよね。準決勝では「ワイドハンガー」に生まれ変わるというオチだったのが、決勝ではそこが「ワゴンR」に替わっていました。

堂前 あそこは「わ」から始まるというルール以外は、自由だったので。いろいろなワードを試してたんです。いちばん最初に思いついたのが「ワイドハンガー」で、「割り勘のアプリ」とかもありましたね。「割り勘のアプリ」は、ほとんど意味がわからない。

 10個くらいは試したよな。

堂前 僕のお気に入りは『ワイルドスピード2』だったんです。

 おれは「若女将」。「ワゴンR」は2人が好きだったやつではないんです。

堂前 『ワイルドスピード2』は固有名詞過ぎるかなと思ったんですよね。「ワゴンR」も固有名詞といえばそうなんですけど、もうちょっと一般的かなと。

――私は「ワイドハンガー」でハマったので、もう一度、あのオチを聴くのを楽しみにしていたのですが。

堂前 割とそういう人が多かったんですよ。でも、一度観たことがある人にも楽しんでもらいたかったので、どうしても替えたかったんですよね。

――ネタを披露した直後はオズワルドに次ぐ2位(649点)につけていましたが、8番手の錦鯉、9番手のインディアンスがともに655点を叩き出し、4位に転落。最終決戦の望みを絶たれました。正直なところ、どんな心境でしたか。

 インディアンスの漫才の途中で、これ、抜かれそうやなと思ったんです。なので、暫定席を去る際の敗者コメントを何にしようかってバタバタしていて。

堂前 慌ただしかったので、悔しいとか、そんな感情に浸っている余裕がなかったですね。

「スーツを着ているかどうか」

――ロングコートダディが優勝したら、コントをメインに置いている組でもM-1で勝てるんだということになって、ますますM-1のすそ野が広がるのではないかと期待していたところもあるのですが。

【次ページ】 「スーツを着ているかどうか」

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