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フリーアナ岡副麻希と結婚 32歳蒲生尚弥ってどんなレーサー?「挫折を経て国内トップ選手に」「人柄にも定評」
text by
大串信Makoto Ogushi
photograph byTakeshi Ogasawara
posted2022/04/13 11:00
4月6日、フリーアナウンサーでタレントの岡副麻希と結婚したことを発表した蒲生尚弥
TGRはトヨタ自動車が、レースを通して技術や人を鍛えることを目的に展開するモータースポーツ活動組織であり、当時は市販トヨタ車をベースに開発した競技車両を使って耐久レースのクラシックイベントであるニュルブルクリンク24時間レースに挑戦していた。ニュルブルクリンクは世界的にも難所として有名なコースで、確実なテクニックを持つドライバーでなければ戦えない。蒲生はそこに起用されたのである。
2013年、蒲生はTGRの一員としてニュルブルクリンク24時間レースにデビュー、翌2014年にはクラス優勝を遂げた。こうして、フォーミュラカー育ちの蒲生はツーリングカーレースの分野で才能を開花させた。例を挙げれば、TGRのニュルブルクリンク24時間レース挑戦プロジェクトの中心的選手となり、TGRが新型コロナウイルスまん延にともないプロジェクトを休止するまで7年連続で参戦、TGRではニュルブルクリンク24時間レース最多出場者となっている。
蒲生の活動はこれがきっかけになったかのように加速していく。SUPER GT GT300クラスのチームに所属、国内の第一線で闘い始めると、2016年にはGT300で初優勝を遂げ、2018年にはついにGT300シリーズチャンピオンにまで駆け上がった。スーパーフォーミュラと並ぶ国内人気カテゴリーであるSUPER GTでの活躍を通して蒲生は、当初目指した場所とは異なる場所で国内トップドライバーの1人として数えられる選手となったのだ。
トップドライバーで「常に柔らかい物腰」 人柄にも定評
日本モーターレース界でも一目置かれる蒲生は、その人柄にも定評がある。レースの現場では自分の世界に入り込み、とげとげしい雰囲気を醸し出す選手が多い中、蒲生は常に柔らかい物腰で落ち着いた表情を見せる。ライバルを押しのけて前へ行かねばならないフォーミュラカーの世界で前へ行ききれなかった所以かもしれないが、変転する状況の中で競技車両とじっくり対話しながら闘う必要のあるツーリングカーの世界では適材が適所にはまったということなのかもしれない。
今年、蒲生の活動分野はさらに広がった。スーパーフォーミュラ、SUPER GTと並んで国内で人気を集めるレースシリーズ、スーパー耐久レースシリーズに、トヨタは新規開発したカーボンニュートラル燃料で走る競技車両を投入した。蒲生はこのドライバーに抜擢され、新しいモータースポーツの形を追求する使命を託されたのだ。SUPER GT、スーパー耐久、そして活動は一時休止しているもののニュルブルクリンクと、蒲生は八面六臂でサーキットを駆け巡っている。
私生活でもSUPER GTに関するTV番組に関わっていた岡副さんとの結婚を発表した今、蒲生の活動は様々な形でさらに充実していきそうな状況なのである。