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《グレート-O-カーンが女児救助》他にもあったプロレスラーの“人助け伝説”…カニを食べていた橋本真也は火災に突入「焼け死ぬぞ!」
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by本人instagramより引用/AFLO
posted2022/04/07 17:01
(左)警察から表彰を受けたグレート-O-カーン(右)“破壊王”橋本真也
昭和を代表する悪役レスラーは「領事館から表彰」
この一件があった後、4月4日の新日本プロレス後楽園ホール大会でオーカーンは、神奈川県警中原署から贈られた感謝状を片手に入場。試合前、対戦相手に握手を求めるなど改心したふりをしながら、ゴングが鳴ればいつものとおり悪行三昧。当然のようにヒールを貫いた。
昔からプロレス界では「ヒールほど人格者が多い」と言われ、事実、昭和を代表する悪役レスラー“インドの狂える虎”タイガー・ジェット・シンは、リングを降りれば慈善家として知られている。昨年2月には、シンが主宰するカナダの「タイガー・ジェット・シン基金」が、東日本大震災で被災した子どもたちへの支援活動をはじめとした、日本との友好親善が評価され、在トロント総領事館から表彰も受けている。
ヒールレスラーにとって、リング上でルール無用の反則攻撃で暴れることも、リング外で助けを求める人を助けることも、どちらも「当たり前のこと」なのである。
カニを食べていた橋本真也は頭から水をかぶり…
ヒールではないが、今回のオーカーンのお手柄ニュースを聞いて、筆者はあるひとりのレスラーのエピソードを思い出した。伝説の男、破壊王・橋本真也による人命救助の話だ。
これは橋本が新日本プロレスを解雇されたあと2001年に設立した団体プロレスリングZERO-ONEが北海道巡業に出たときの話。札幌での試合を終えた橋本が若手選手やフリーとして参戦していた藤原喜明らとススキノのカニ料理専門店で食事をしていた時、ふと外を見ると向かいのビルが火事になっているのが見えた。
すると破壊王はすぐさまカニを食べるのをやめ、「助けに行くぞ!」と現場に直行。消防隊もまだ駆けつける前、「中に人がいる」と聞いた橋本は頭から水を被りビルの中へと突入。当時、ヒザを痛めていたにもかかわらず125kgの巨体で階段を駆け上がり、ドアを片っ端からノックしながら、「火事だ!早く逃げないと逃げ遅れるぞ!」と叫んでまわったのだという。