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「女子プロレスを背負って立つ」スターダム王者・朱里が語る“朱いベルト”への思い…岩谷麻優戦で「ドローは絶対に嫌だった」理由とは?

posted2022/04/07 11:01

 
「女子プロレスを背負って立つ」スターダム王者・朱里が語る“朱いベルト”への思い…岩谷麻優戦で「ドローは絶対に嫌だった」理由とは?<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

両国2連戦で赤いベルトを守り抜いた朱里。新ユニット「God's Eye」も結成した

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

「チャンピオンベルトは獲るよりも守るほうが難しい」

 マット界の不動の格言である。その難しいことを、スターダムの頂点ワールド・オブ・スターダム王者の朱里は2日連続でやってのけた。

 3月26日、27日の両国国技館2days興行。伝統の会場での連戦は女子プロレス界で初となる。メインイベントは2日ともワールド王座戦。朱里は初日にジュリアを下し、2日目には岩谷麻優に勝利した。1月のMIRAI戦に続き2度目、3度目の防衛となる。昨年12月、タイトルを奪取した相手は林下詩美だった。

 岩谷は2019年、ジュリアは2020年、林下が2021年の女子プロレス大賞受賞者だ。朱里は団体最高峰のベルトをかけ、女子プロレスを代表する選手たちを“3タテ”したことになる。林下戦の会場も両国国技館だったから、朱里は3大会連続で両国でのビッグマッチを締めたわけだ。とてつもない活躍ぶりと言うしかない。

2連戦で見せた“2つのフィニッシュ”の凄さ

 ジュリア戦が26分54秒、岩谷戦は28分57秒。どちらも30分一本勝負で、タイムアップまであとわずかという熱戦だった。印象的なのは、フィニッシュ技が違うことだ。初日は林下戦で初披露した「朱世界」。相手を肩車した状態から真下に投げ落とす新技だ。

 岩谷戦では、その朱世界を2度にわたってディフェンスされた。残り時間が少ない中で咄嗟に出たのが「白虎」。相手の片脚と両腕を同時に固める複合関節技だ。

「引き分け防衛は絶対に嫌でした。ここで決着をつけなきゃと思った時に(自然に)白虎の体勢に入ってましたね」

 朱里オリジナルの複合関節技は白虎、玄武、朱雀、青龍の4種類。流炎、朱世界という投げ技もあり、師匠TAJIRI譲りのバズソーキックやハイキックでもフィニッシュできる。勝ち方のバリエーション、その豊かさが2連勝につながったと言えるだろう。

 立ち技格闘技イベントKrush、MMA(総合格闘技)のパンクラスでもチャンピオンになっている朱里だが、それもプロレスラーとしての参戦。“格闘スタイル”だけのプロレスラーだとは思われたくないという。確かに、朱世界も白虎もプロレスらしい技だ。

「自分はプロレスラーとしてデビューしましたし、プロレスのスタイルとしてもオールラウンドなタイプだと思っているので」 

 ジュリアは場外戦を仕掛け、本部席のテーブル上でパイルドライバーを決めた。もともとラフファイトに強く、張り手も強烈だ。岩谷はムーンサルト・プレスなど飛び技を使いこなし、独特の華やかさとタイミング感覚を持つ。試合を自分の“ワールド”にできる選手と言っていい。なおかつ打たれ強さが驚異的で「何をやってもゾンビみたいに立ち上がってくる」と朱里。投げや打撃の“衝撃”に耐性があると考えると、グラウンドのフィニッシュはベストな選択だった。

【次ページ】 岩谷戦「ドロー防衛は嫌だった」理由とは?

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