甲子園の風BACK NUMBER
「本当に似ている」ヤクルト村上宗隆の弟・慶太(兄より大きい190cm)が見せた3つの非凡な能力とは? 同じ九州学院、熊本制覇に貢献
posted2022/04/06 11:03
text by
西尾典文Norifumi Nishio
photograph by
PPAB-lab.
3月30日、甲子園球場ではセンバツ高校野球の準決勝が行われていたが、その裏で密かに注目を集める試合が九州で行われていた。
春の熊本県大会の会場となった「リブワーク藤崎台球場」を訪れたNPBのスカウトは7球団、合計10人。いわゆる“部長クラス”と言われる管理職が姿を見せていた球団も3つあった。確かに甲子園大会では全出場校の登場を見届けてから球場を去るスカウトがほとんどだが、そのことを差し引いても注目度の高さが窺える。
そんなスカウトたちのお目当ては、準々決勝の第1試合・秀岳館高校戦に登場した九州学院高校の新3年生、村上慶太だった。
「九州学院の村上」と聞けばピンと来る野球ファンも多いかもしれない。ヤクルトの主砲、村上宗隆の弟である。
ちなみに宗隆は三兄弟の次男で、長男の友幸も東海大熊本星翔から東海大を経て、現在は社会人野球の新興チームである「テイ・エス テック」で投手としてプレーしている。身長は友幸が193cm、宗隆が188cm、そして高3の慶太が190cmと、実は宗隆が最も低い。野球界では兄弟が揃ってプレーしていることは珍しくないが、これだけ大型の三兄弟というのはなかなかお目にかかれない。
可能性を感じる“ヘッドスピードの速さ”
さて、この試合。注目の慶太は背番号5をつけて4番・ファーストで先発出場を果たした。結果から先に書くと、1回表の守備で先制点に繋がるエラーを犯し、打撃面でも四球を1つ選んだものの、3打数ノーヒットと目立った活躍を見せることはできなかった。しかし、そんな中でも大きな可能性を秘めた部分があったことは確かである。
まずバッティングで目を引いたのは、そのヘッドスピードの速さだ。試合開始前、他の選手と並んで素振りをする姿が見られたが、それほど全力で振り切っているというわけではないのに、明らかに1人だけスイングの空を切る音が違う。バックネット裏からでもハッキリと分かった。