國學院大・前田監督の発破「早くMGC出場権を！」

　寺田は今も現役で走り続けている。所属のJR東日本では駅伝でチームに貢献。個人では2020年の福岡マラソンを走り、自己ベストの2時間8分3秒で3位入賞を果たした。

　チーム最年長の日本人選手となった今、マラソンで勝負する理由についてこう語る。

「自分はトラックが得意じゃないし、勝負できるのはマラソンなので。福岡で3位になった時は『（箱根で）コースを間違えただけじゃなかったね』って、たくさんの人に言われたのが嬉しかったです。先輩や友人からも『応援する同世代がだんだん少なくなってきているから少しでも長く活躍してほしい』とよく言われますね」

　でも、と続ける。

「年齢が年齢なので、いつ戦力外と言われても後悔が残らないように、そういう意識ではやってます。昔、中学生の頃ですけど、地元長崎でランニング教室があって、そこで当時コニカミノルタにいた前田和之さんにこう言われたんです。『少しでも多くの人に応援してもらえるような、人間性も含めて愛される選手になりなさい』と。振り返れば、その言葉をこれまでずっと意識してやってきたように思います」

　周りに応援してくれる人がいるからこそ、競技を続けてこられた。その期待を裏切らないように、精一杯努力してきた。愛される選手になるという目標は、すでに叶えているとも言えるだろう。

　今後の目標について訊ねると、前田監督と最近話したというエピソードに触れて、こう話した。

「この前、駒澤大の大八木（弘明）監督に言われたらしいんですよ。『うちはMGCの出場権を得たのが（陸上部OBで）5人いるから、うちの方が強い』って。だから『早くお前もMGCを取って國學院大出身者の人数を増やしてくれ』って発破をかけられました（笑）」

　マラソンの日本代表になり、声援を浴びながら檜舞台で活躍する夢をまだ完全に諦めてはいない。取材したこの日、寺田の人生を映しだすかのような、透き通った青空が広がっていた。＜前編から続く＞

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