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契約最終年のレッズ秋山翔吾が開幕直前に大胆な打撃フォーム改造…“こすった打球のライトフライ”でつかんだ現状打破の予感とは

posted2022/03/31 11:08

 
契約最終年のレッズ秋山翔吾が開幕直前に大胆な打撃フォーム改造…“こすった打球のライトフライ”でつかんだ現状打破の予感とは<Number Web> photograph by AFLO

オープン戦が続く3月下旬に打撃フォームを変えた秋山。契約最終年、3年目の開幕を迎える

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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 メジャー3年目を迎えるレッズ秋山翔吾が、勝負のシーズンを前に、大胆な打撃改造に着手した。これまでは、右足を上げてタイミングを取っていたが、開幕まで2週間を切った3月下旬、ほぼノーステップに近い打法を取り入れ、実戦テストを開始した。

「僕に対して変化させてあげようと思ってくれる人たちが周りにいてくれて、(言われたのが)小さいステップにするということ。大谷(翔平・エンゼルス)がやっているんだからできるだろう、というくらいの説明だったんですけど」

 秋山は打撃改造の経過を、ジョーク交じりに説明する。確かにこれまでも、ステップ幅の修正を含め、すり足打法のような改良に取り組んだこともあった。だが、最終的には定着せず、西武時代と同じように右足を上げて体重移動する打法を続けてきた。だが、今回はコーチ陣に加え、同僚のマイク・ムスタカスが足を上げるために重心が上下動するリスクを指摘してくれたことが、「かたくなにノーステップとすり足をやりたくないという感じではなかった」という秋山の背中を押した。

準備不足が続いた2年間

 これまでの2年間は、なかなか米国野球への対応を万全にできず、満足な状態に仕上がることなく開幕を迎えてきた。2020年はコロナ禍で開幕が7月までずれ込み、実戦不足のまま、短縮された公式戦60試合に臨んだ。162試合となった昨季は、妻の不慮の事故でキャンプ地を離れ、合流後には左太もも裏痛で離脱。負傷者リストから復帰したのは開幕から約1カ月が経過した5月初旬だった。今シーズンにしても、約3カ月に及ぶロックアウトの影響で、春季キャンプがスタートしたのは3月中旬だ。

 それでも定位置を奪い取るため、秋山はある程度のリスクを承知したうえで、打法改造へと踏み切った。西武時代の15年、日本歴代最多となる年間216安打をマークしたバットマンの実績を知る周囲からすれば、大きな賭けと映るのかもしれない。だが、今の秋山に逡巡する気配は見えない。むしろ、吹っ切れたかのように、新打法挑戦への思いを口にする。

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秋山翔吾
シンシナティ・レッズ

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