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契約最終年のレッズ秋山翔吾が開幕直前に大胆な打撃フォーム改造…“こすった打球のライトフライ”でつかんだ現状打破の予感とは
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byAFLO
posted2022/03/31 11:08
オープン戦が続く3月下旬に打撃フォームを変えた秋山。契約最終年、3年目の開幕を迎える
「迷いながらやっているとか、ただ結果が欲しくて焦ってやっているというのとは違う。課題を持ちつつも、勝負なので『いい形になるように』と思いながら打席に入っています」
確かな手応えがあるわけではない。だが試行錯誤を続ける中、秋山はこれまでにない感覚を、肌で感じ取っていた。3月28日。カブスとのオープン戦の第2打席。カウント2-2からの内角速球を捉えた打球は、高々と舞い上がり、前進してきた右翼手のグラブに収まった。記録上は、当然「右飛」として処理されたに過ぎない。だが、秋山の感覚は少しばかり違った。始動からのタイミング、バットと球の衝撃音、両手に残る感触は、ほぼ完璧に近かった。右翼手が捕球する直前に、秋山が二塁ベース手前に到達するほど、滞空時間の長い飛球だった。
ヒットメーカーが感じた可能性
まさに、紙一重だった。
ミート力に定評のある秋山が、パワーを兼ね備えた可能性を感じさせる、浅い「右飛」だった。
「あの打球の上がり方というのは、打球に力が乗ったなと。(今までの)僕のこすった打球だったら、二塁ベースより反対(左)に行くと思うんです。ああいう上がり方がなかなか僕の中にないので。違う打球の種類が出てきているというのは、また違ったいい感覚みたいなものが出てくる可能性もあるので。あれはもうちょっとでしたね。ああいうバットの出方、体重の乗り方、上がり方というのが出たというのはありましたね」
かつてイチローは、オリックス時代、誰も気に留めないような、平凡な二塁ゴロを放った際、特有の感覚をつかんだという。
現時点で、秋山は長距離打者を目指しているわけではない。現状打破を志す中で、新たな立ち位置を求めて、もがき続けていると言い換えてもいい。
契約最終年の今季、過去の実績にこだわることなく、変化を恐れず、前へ進むために腹を括っていることだけは間違いない。