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試合後“初肉声”は「悔しい」 タイガー・クイーンが6連勝も“必殺技なし”の大苦戦…好敵手たちとの“再戦”が今後のカギに?

posted2022/03/30 17:00

 
試合後“初肉声”は「悔しい」 タイガー・クイーンが6連勝も“必殺技なし”の大苦戦…好敵手たちとの“再戦”が今後のカギに?<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

3月17日の後楽園大会で高瀬みゆきと対戦し、デビューからシングル戦6連勝となったタイガー・クイーン

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 タイガー・クイーンがストロングスタイルプロレスのリングでデビューしてから8カ月が経った。

 初代タイガーマスク・佐山聡と女子プロレス界のレジェンド・ジャガー横田が育成した“女性版タイガーマスク”。タイガー・スープレックスやサマーソルトキックなど、初代の技を巧みに使いこなす。ジャガー曰く「初代タイガーのクローン」だ。

 クイーンは“昭和のプロレスファン”にとっても気になる存在であり、同時に初代タイガーの闘いを受け継ぐ“女子”レスラーという点で圧倒的に新鮮だ。

 初代タイガーとの共通点は技、動き以外にもある。対戦相手に恵まれていることだ。デビュー戦で当たったのは女子デスマッチのトップランナーである山下りな。マーベラスのエース・彩羽匠やライディーン鋼、佐藤綾子にも勝利している。

 いずれも、現代の女子プロレスにおける最前線で活躍する選手たちだ。大ベテラン・伊藤薫の胸を借りた試合も。クイーンの試合によって、今の女子プロレスの豊かさ、優れた選手が何人もいることが女子プロファン層の外側にも伝わったのではないか。実際に好評だったのだろう、現在のストロングスタイルプロレスでは、マッチメイクの半分が女子の試合になっている。

クイーンは「ずっと闘ってほしかった相手」と対戦

 初代タイガーにとっても、ライバルたちの存在が重要だった。ダイナマイト・キッドにブラック・タイガー、“虎ハンター”小林邦昭。メキシコで活躍する“小さな巨人”グラン浜田とは闘うだけでなくタッグを組むことも。

 相手あってのプロレス。好敵手の存在は選手の光を何倍にもさせる。“キッドのいない初代タイガーのキャリア”は、ちょっと想像がつかない。それが分かっているから、佐山はタイガー・クイーンの今後に関して「女性版ダイナマイト・キッドも育てたい」と語っているのだ。

 3月17日のストロングスタイルプロレス後楽園ホール大会。クイーンはシングルマッチ6戦目で高瀬みゆきと対戦した。2017年、アクトレスガールズでデビューした高瀬(現在フリー)は華と実力を兼ね備えた選手として高い評価を得てきた。アクトレスガールズのシングル王座だけでなくシードリング、ディアナ、WAVEでタッグ王座を獲得。クイーンがシングルマッチで闘った相手としては最もキャリアが浅く、その意味で“胸を借りる”イメージは薄かった。それだけに“ライバル候補”としての期待も高い。ジャガーも「ずっと見ている中で、クイーンと闘ってほしかった選手」と語っている。

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