濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
那須川天心戦へ、武尊の仕上がりに不安? エキシビションで「軍司のパンチをもらっているようでは」の声も…“正面突破”がカギに
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakao Masaki
posted2022/03/09 11:00
2月27日、軍司泰斗とのエキシビションを行った武尊
「次の試合はリカバリー制限もあるので難しい部分がある」
この条件で試合をするのは初めてとなる武尊にとって、軍司とのエキシビションは“ぶっつけ”を避ける意味があった。まずは前日、62kgに仕上げ、そこから汗で体重を落とす「水抜き」に取り組んだ。那須川戦より少し重い程度のウェイトにして、そこから今度はリカバリー。食事と水分で体調を戻す。そしてエキシビション当日朝の段階で61.75kg。できるだけ那須川戦に近い状態に体重をコントロールし、リングで闘い、調子を確認した。
「体重は落とすだけだったら簡単なんです。食べなければいいだけなので。でも格闘家は体重を落とした上で闘わないといけない。(落とすだけでなく)動ける状態を作らないと。特に次の試合はリカバリー制限もあるので難しい部分があって。今回“こういう落とし方をするとこうなるんだ”とか“リカバリーはこうしないといけないな”とか、減量の修正点にいろいろ気づけました。やってよかったです」(武尊)
6月の時点での「前日計量58kg、当日62kg」の自分の動きを予測してもらうと、武尊はこう語った。
「(現状でも)スピードが凄い上がってるのは自分でも感じます。プラス、手数も出るようになって。その部分は体重を落とすことで強化されてるのを感じます。あとは筋力を持続させること、パワーを落とさないことですね」
今まで以上にはっきりしてきた武尊の“輪郭”
あくまでターゲットは6月。その時に最高の状態にするために、今回のエキシビションがあった。記者として言うと、闘いを見て考えたこと、ファンに伝えたいことをインタビュースペースや一夜明け会見で選手に聞くという作業が今回はことのほか充実していた気がする。那須川戦に向けて、武尊というファイターの“輪郭”が今まで以上にはっきりしてきたのだ。
対戦した軍司は、武尊の強さを「思っていた以上に打ち合いが強かった」と話している。武尊といえば打ち合いの強さ。それが分かっていてなお、想像以上だったというのだ。
「手数があって打ち返しも速い。打ち合いになったら負けないという強い気持ちを凄く感じました」
「スピードは僕の階級、57.5kgでも通用するというか、それ以上。ジャブとかのスピードも速いし見えにくかったです」