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「98年のチームはすでにピークを過ぎて高齢化し…」トルシエが“日本代表の世代交代”を決断した「中村俊輔のループシュート」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byAFLO
posted2022/03/29 06:00
98年のアルゼンチン戦に出場した時の中村俊輔
森島の“あのゴール”も印象深い
2000年シドニー五輪こそ32年ぶりのメダルを獲り損ねたものの(準々決勝でPK戦の末アメリカに敗れる)、直後にレバノンでおこなわれたアジアカップでは、「アジアカップ史上最強」の評価を得る圧倒的な強さを見せて8年ぶり2度目の優勝を果たした。
翌年のコンフェデレーションズカップでも決勝に進んだ日本は、ワールドカップに向けて着々と準備を進めていった。そして迎えたワールドカップ。初戦でベルギーと2対2で引き分けた後、続くロシアを1対0、チュニジアを2対0と下し、1位でグループリーグ突破を決めたのだった。
チュニジア戦の後半、48分に森島寛晃が決めた先制ゴールが、U-21アルゼンチン戦の中村のゴールと並んで思い出深いとトルシエはいう。
「見事なゴールとは言えないかも知れないが(相手DFがクリアしたこぼれ球を、ダイレクトでループ気味に蹴りこんだもの)、あれもまた日本の運命を変えたゴールだった。世界への扉が開いて日本は世界に認知され、大会の後、選手たちは次々と海外に出て行った。森島のゴールこそ、扉を開ける鍵だった」
<オシム編、ザック編に続く>