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「唯一残念なのはオカザキをセリエAで…」 ザックが“メッシのアルゼンチンを撃破した岡崎慎司のゴール”を絶賛したワケ

posted2022/03/29 06:02

 
「唯一残念なのはオカザキをセリエAで…」 ザックが“メッシのアルゼンチンを撃破した岡崎慎司のゴール”を絶賛したワケ<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

アルゼンチン戦で決勝ゴールを決めた岡崎慎司。ザックに重宝されたプレーヤーの代表格だ

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph by

Naoya Sanuki

7大会連続となるW杯出場を決めた日本代表。これまで数多くの外国人指揮官が世界と伍するための戦略・哲学をチームに注入してきました。今回はNumber1001号『日本サッカー希望の1ゴール』特集からイビチャ・オシム、フィリップ・トルシエ、アルベルト・ザッケローニの3人に「最高の1点」を選んでもらった記事を全文掲載します(全3回/オシム編トルシエ編も)

 日本サッカーを発展させるという大きな使命を受けて代表を率いた歴代の外国人監督が、この国で戦う自信を得た1ゴールについて語った。

 アルベルト・ザッケローニは故郷のチェゼナティコで静かな日々を過ごしている。

 日本との繋がりは今も続いていて、東京の友人に会うために、時折日本を訪れる。昨年12月にはJリーグ優勝決定戦となった横浜FM対FC東京の試合を観戦した。

「日本での4年間のことは忘れられない」とザッケローニは振り返る。

「すべてが素晴らしい経験だった。私についてきてくれた選手たち。原(博実)さんをはじめ、サポートしてくれたサッカー協会やスタッフたち。最後は願った通りの結果にはならなかったが、あの4年間で戦った試合の数々は今もはっきりと覚えている」

「もしかしたら意外なチョイスかもしれないが」

 最も記憶に残るゴールはどれか。そう問うと、電話口のザッケローニはしばらく考えこんだ。彼の日本代表を飾ったゴールの数々が頭の中をかけ巡っていたのだろう。

「もしかしたら意外なチョイスかもしれない。しかし振り返ってみて、鮮やかに記憶に残っているのは、私のはじめての試合となったアルゼンチン戦で決めた岡崎慎司のゴールなんだ」

 時は2010年10月。ザッケローニの初陣の相手はリオネル・メッシ率いるアルゼンチン代表だった。思い返せば、随分と豪華なデビュー戦である。

「試合前の興奮を思い出す。当時の日本サッカーは右肩上がりだった。直前の南アフリカW杯でベスト16と好成績を残し、本田圭佑や香川真司ら、新しい日本サッカーを象徴する若手も出てきていた。そんな中やってきた私への期待もあった。日本代表をもう一段階先へ成長させる。個人的にもモチベーションが高まっていた。そして相手が錚々たるメンバーだったということも、このゴールの価値を高めてくれている」

【次ページ】 準備の時間がない中、メッシらを迎え撃った

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