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現役騎手を続ける大井の帝王・的場文男(65)の“引き際の美学”とは? 2着10回の東京ダービー制覇は「もう諦めた(笑)」

posted2022/02/27 11:01

 
現役騎手を続ける大井の帝王・的場文男(65)の“引き際の美学”とは? 2着10回の東京ダービー制覇は「もう諦めた(笑)」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

「大井の帝王」として今も現役で活躍する的場文男。60代半ばを迎えても、体力面の衰えはほとんどないという

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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Keiji Ishikawa

騎手として数々の金字塔を打ち立て、現在も自身の持つ記録を更新し続けている的場文男。昨年9月に65歳となった「大井の帝王」は、現役生活の終わりをどのように見据えているのか。いまだ未勝利の東京ダービーへの思いや、「富士山のような騎手人生」について話を聞いた。(全2回の2回目/前編へ)

 的場文男は、地方競馬の通算最多勝記録、最年長騎乗記録、最年長勝利記録、重賞最年長勝利記録と、長年騎乗した一流騎手が樹立可能なすべての記録を更新した。

 これまでは、自身の1000勝単位の勝ち鞍を原動力とし、佐々木竹見が保持していた7151勝という地方競馬最多勝記録の更新を目指してきたわけだが、自身が記録そのものとなってからは、何を目標にして騎乗しているのだろうか。

「竹見さんの記録を更新したとき、1勝や10勝抜いたくらいじゃダメだ、と思ったんだ。少なくとも100勝くらいは差をつけてからやめよう、と。もう200勝以上差をつけたから(2月26日現在で7371勝)、今は、どこらへんでやめようかなと考えているところ。こんな感じで行って、いいところでやめるよ。やめるのは、結果がついてこなくなったときだね」

 逆に言うと、結果がついてくる限りは騎手をつづける、ということか。

「年間50勝くらいに減ったとはいえ、今でも勝つことができている。石崎隆之さんと森下博さんはおれより1期上なんだけど、60歳を過ぎてから引退するまでの何年かは、乗り鞍も少なくなって、ほとんどひと桁しか勝てなくなったでしょう。でも、あの状態でやっていたのはすごい。おれより偉いと思うよ」

今も毎朝の調教に乗る65歳「体はぜんぜん大丈夫」

 勝ち鞍に対する的場の考え方には独特のものがある。40歳近くまでは、大井以外ではほとんど乗らなかった。理由を訊くと「大井であれだけ勝てばお腹一杯。それでいいでしょう」と笑っていた。自身の勝ち鞍をモチベーションにしながらも、それを増やすことに躍起になるわけではないのだ。40歳くらいから南関東の4場すべてで騎乗するようになっていたが、昨年からまた大井だけで乗るようになっている。

【次ページ】 悲願の東京ダービー制覇は「もう諦めた(笑)」

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