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現役騎手を続ける大井の帝王・的場文男(65)の“引き際の美学”とは? 2着10回の東京ダービー制覇は「もう諦めた(笑)」
posted2022/02/27 11:01
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Keiji Ishikawa
的場文男は、地方競馬の通算最多勝記録、最年長騎乗記録、最年長勝利記録、重賞最年長勝利記録と、長年騎乗した一流騎手が樹立可能なすべての記録を更新した。
これまでは、自身の1000勝単位の勝ち鞍を原動力とし、佐々木竹見が保持していた7151勝という地方競馬最多勝記録の更新を目指してきたわけだが、自身が記録そのものとなってからは、何を目標にして騎乗しているのだろうか。
「竹見さんの記録を更新したとき、1勝や10勝抜いたくらいじゃダメだ、と思ったんだ。少なくとも100勝くらいは差をつけてからやめよう、と。もう200勝以上差をつけたから(2月26日現在で7371勝)、今は、どこらへんでやめようかなと考えているところ。こんな感じで行って、いいところでやめるよ。やめるのは、結果がついてこなくなったときだね」
逆に言うと、結果がついてくる限りは騎手をつづける、ということか。
「年間50勝くらいに減ったとはいえ、今でも勝つことができている。石崎隆之さんと森下博さんはおれより1期上なんだけど、60歳を過ぎてから引退するまでの何年かは、乗り鞍も少なくなって、ほとんどひと桁しか勝てなくなったでしょう。でも、あの状態でやっていたのはすごい。おれより偉いと思うよ」
今も毎朝の調教に乗る65歳「体はぜんぜん大丈夫」
勝ち鞍に対する的場の考え方には独特のものがある。40歳近くまでは、大井以外ではほとんど乗らなかった。理由を訊くと「大井であれだけ勝てばお腹一杯。それでいいでしょう」と笑っていた。自身の勝ち鞍をモチベーションにしながらも、それを増やすことに躍起になるわけではないのだ。40歳くらいから南関東の4場すべてで騎乗するようになっていたが、昨年からまた大井だけで乗るようになっている。