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還暦後に年間100勝… 競馬界のレジェンド・的場文男65歳が明かす“不滅の大記録”更新の裏側「7000勝でスイッチが入った」
posted2022/02/27 11:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Keiji Ishikawa
62歳になった2018年、通算7152勝を挙げ、「鉄人」佐々木竹見が保持していた地方競馬通算最多勝記録を更新した。さらに驚くべきは、その年、114勝をマークしたことだ。63歳になった2019年は68勝、2020年は51勝、2021年は49勝、そして、誕生日が来れば66歳になる今年も乗りつづけ、勝つたびに自身の最多勝記録を更新している。
大井の帝王・的場文男。
世界中を見渡しても、60歳を過ぎてこれだけ勝ち鞍を挙げた騎手は、あとにも先にもほかにいないのではないか。
「追い越せるとは思わなかった」佐々木竹見の大記録
「まあ、ここ何年かは5、60勝しかしてないけどね」
大井競馬場の新スタンド「G-FRONT」へと歩きながら、的場は苦笑した。1階に、地方競馬通算最多勝記録を更新したときに使用していた鞍や鞭などがディスプレイされている。
「おれもこうして飾られているのを見るのは初めてなんだ。ズボン、破けてるよね(笑)。達成したらすぐ持って行かれてさ。竹見さんの記録は不滅って言われていたし、追い越せるなんて思わなかったよ」
少しかすれた声でそう言った。
鋭い眼光や勝負師としてのイメージから、怖い人だと思われがちだが、実は、サービス精神旺盛で、優しい紳士なのだ。
今回の取材は開催日ではない日に行われたので、ジャケットにスラックスというスタイルだった。スラリと伸びた脚も、軽やかな身のこなしも、とても60代とは思えない。
60代半ばになった今もなお、騎手というハードな仕事を第一線でつづけられるのは、常人とどこが違うからなのか。そのモチベーションの源泉はどこにあり、体調管理などはどのように行っているのだろうか。