濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“女優による団体”アクトレスガールズが方向転換、選手たちのその後は…? ユニット旗揚げのSAKI「プロレスラーとしての決意表明」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/02/26 11:02
COLOR'S旗揚げ興行のメインに出場した元アクトレスガールズのSAKI
アクトレスガールズに“残る”選択をした選手がいた。同時にプロレス界に“残る”と決めた者も多かった。フリーで活動することを選んだ関口翔(かける)は言う。
「アクトレスガールズでプロレスに出会って、その魅力にどんどん惹かれて。他団体にも出させてもらって、プロレスラーのみなさんに触れて“あんなふうになりたい”と。以前はプロレス、格闘技、ボクシング、全然違いが分からなかったくらい(笑)。でもプロレスを知って思ったのは、とにかくカッコいいんですよ、プロレスラーって。
アクトレスガールズの練習生になった2017年の1月から、自分の人生がガラッと変わりました。プロレスやってなかったら、大学を出てフリーターやりながら小劇場で売れない役者をやってたんですかね。いやニートかな……」
関口との「KKMK(カケミク)」タッグで団体のベルトを保持していた青野未来は、アクトレスガールズ残留を選んだ。今回の方針転換によって、いくつかの人気タッグが事実上の解散となっている。
タッグ王座挑戦経験もあるWもも(谷もも&向後桃)は、12月13日の後楽園ホール大会での試合後「2人で組むのはこれが最後かもしれない」と抱き合って泣いた。実際、18日の旧体制ラスト興行は全試合シングルマッチになった。本人たちも、次のマッチメイクを直前まで知らなかったそうだ。2022年からの身の振り方を、さまざまな事情でギリギリまで明かせない選手もいた。
最終興行では、選手のほとんどが号泣
旧体制アクトレスガールズ最後の数興行、マッチメイクは大会ごとの発表で、ファンからすると観戦計画が立てにくかったのではないか。「KKMK2人のタッグ、この日が最後だと知ってたら仕事休んででも行ったのに」というファンもいたかもしれない。もちろん、ラスト数回すべて見に行ければいいのだが、それを求めることは誰にもできない。「推しは推せるうちに推せ(何があるか分からないから)」という有名な言葉もあるが、それはファンの自戒の言葉だ。演者や運営側、マスコミが使うものではないだろう。
12月18日、横浜ラジアントホールでの旧体制最終興行では、選手のほとんどが泣いていた。関口はシングル王者SAKIと対戦するリングに上がった瞬間から涙目だった。
「12月の目標は“泣かない”ってことだったんですけど、毎回ダメでした(苦笑)。やっぱりアクトレスガールズへの愛着が強いってことでしょうね。それを再確認しましたね」
アクトレスガールズに残るのも、プロレスを続けるのも、どちらも“正解”だ。アクトレスガールズ新体制の可能性にかけたいと言っていたのは青野。芸能活動との二足の草鞋にやりがいを感じてもいる。