濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“女優による団体”アクトレスガールズが方向転換、選手たちのその後は…? ユニット旗揚げのSAKI「プロレスラーとしての決意表明」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/02/26 11:02
COLOR'S旗揚げ興行のメインに出場した元アクトレスガールズのSAKI
新たな活動を始めたSAKI
そんな中で、SAKIも新しい動きを始めた。12.13後楽園大会のメイン後、Color'sの名を引き継いで活動することを発表したのだ。大文字の『COLOR'S』に表記を変え、ユニットとして自主興行も開催。その第1回大会も決めていた。2月12日の新木場1stRINGだ。
アクトレスガールズがプロレス団体としての活動をやめることになったものの、いろいろな面で準備ができていない選手もいた。キャリアの浅い選手がフリーでプロレスを続けようにも、各団体とのツテがなければ始まらない。そんな後輩たちのためにも、SAKIはユニットを作ることにした。「一緒にやりたい」、「ついていきます」と言ってくれる選手たちに背中を押されたという。その1人が、SAKIとプロレスリングWAVEのタッグ王座を獲得した清水ひかりだった。清水曰く「私が好きなプロレスはSAKIさんのもとでやるプロレスなので」。
巣立ちたくなったら送り出す。戻ってきたいというならいつでも戻れる。そんな、アクトレスガールズ出身者にとっての“実家”のような場所を作りたいとSAKIは言った。
SAKIは2012年にデビューし、2017年からアクトレスガールズへ。自分もアイドルレスラー企画の出身だったから、芸能界から来てプロレスを頑張りたいけど頑張り方から模索しなければいけない後輩たちの気持ちがよく分かった。
Color'sという名には、色のついていない新人たちがそれぞれの個性を身につけるという意味が込められている。Color'sでは、まずプロレスは楽しいものなんだと教えることから始めた。伸びてきた選手がいるとSAKIが壁になり、悔しさや苦しさを知ることで余計に楽しくなるんだと伝えた。
「チケットってどうやって作るの?」「座席表って何?」
自分1人でフリーとしてやっていくのなら簡単だったはずだ。SAKIのキャリアと実力があれば、どの団体でもタイトル戦線に絡んでいける。なのに彼女は、後輩たちと“家”を作ることにした。COLOR'Sの選手が他団体に出る際はセコンドにつき、売店でチケットも売る。自主興行も、まるでやり方が分からなかった。
「もう右も左も分かんないですよ。“チケットってどうやって作るの?”、“座席表って何? くれるんじゃないの?”みたいな(笑)。何も分からない状態で会場押さえちゃったので、みなさんの力にも頼って私なりにやっていけたら」
1人でやっていくほうが楽だが、大変でも何も分からなくてもCOLOR'Sが、後輩たちが好きだった。アクトレスガールズを“卒業”する面々には「プロレスをやりたくて困ったことがあったら言ってね」と声をかけた。今はスターダムで闘う向後桃も、SAKIに心配してもらったのが嬉しかったと振り返っている。向後はBeginning所属だったが、SAKIは分け隔てなかった。「本当に大きい人、頼りになる人です、SAKIさんは」と向後。