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「『二人がすごい』で終わってはダメ」30歳谷口彰悟が問い続ける“自分は吉田麻也&冨安健洋と何が違うのか?”
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJMPA
posted2022/02/04 11:05
中国、サウジアラビアと2連勝したカタールW杯アジア最終予選でスタメン出場した谷口彰悟(30)
「二人がプレーする海外は日本と文化もサッカーのスタイルも違うので、それをサッカーを通して感じられたり、話ができたのは、すごく幸せなことでした。でも『二人がすごい』で終わってはダメで、自分も代表でスタートから出たい。そのためにはどうしたらいいのか、どうやったら最初から出られるか、ずっと考えていました」
自分は、吉田や冨安と何が違うのか。そして、どこが自分の良さなのか。その違いを理解する必要があった。
「パワーやスピードでは海外の選手の方があると思いますが、ディフェンスが勝負するところはそこだけじゃない。相手との駆け引きや細かいポジショニングとかはずっとやっていかないとJリーグで失点してしまうので、そういう部分では海外の選手よりも自分の方ができると思っています。
僕はチームではいかなる時も試合に出て、いいパフォーマンスを発揮しないといけないという責任がありますし、自分のコンディションの良し悪しを抜きにしても勝つために何をしないといけないのか(考える)というところでは普段から鍛えられているので、そういう点は代表にも活きてくると思います」
日本代表には安泰も指定席も必要ない
結局のところ代表に入るには、まずはチームでいいパフォーマンスをして結果を出すこと。そこに今回のようなチャンスが転がり込んでくることでプレーする道が開けてくる。そして、その与えられたチャンスを逃さないことだ。
「センターバックの二人がいないのは、間違いなくチャンス。呼ばれたセンターバックの選手はみんなそこを狙っているし、今回は僕と滉がそのチャンスをもらった。普段出ていない選手がいない中でも仕事をするのが大事だし、そうして新たな競争が生まれて行けばいいと思います」
谷口の自信に満ちたプレーからは、昨季のJリーグチャンピオンチームのキャプテンであり、リーグ最少失点を実現した守備の要であることへの自負とプライドが垣間見えた。
主力の吉田や冨安に少なからぬ緊張感を与えたことだろうし、チームにとってはプラスしかない。センターバックとGKはなかなか代えにくいポジションだが、競争がなければお互いに成長できず、組織も停滞化してしまう。サウジアラビア戦では、長友佑都が「不要論」のプレッシャーに打ち勝つべく覇気のあるプレーを見せたが、そういう中で戦うのが代表選手。軸になる選手は必要だが、日本代表には安泰も指定席も必要ない。
板倉に声がけ「分かっているだろうけど、それでもしつこく」
サウジアラビア戦、谷口は板倉、遠藤、守田、田中とともに中央を固め、相手にほとんど仕事をさせなかった。相手にボールを持たれても慌てず、個々の対応でもミスはなかった。タッチライン際では無理せず、外に出してプレーを切るなど、プレーをハッキリさせていた。