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「これがあと3週間続くのか」報道関係者から嘆きも…北京五輪の“対コロナ厳戒態勢”は東京五輪と何が違う?【現地レポート】
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTakaomi Matsubara
posted2022/02/02 11:02
防護服に身を包みながらも、歓迎の意を示す現地のスタッフ
ひととおり終えると、空港から専用のバスでホテルに向かうことになるが、一般の到着口を経由することなく乗車する。ホテルまでの途中下車は許されない。
ホテルはフェンスで覆われている。バスが到着したときだけゲートが開き、バスが中に入り降車という流れだ。
東京五輪のような「抜け道」はなし
フロントで手続きをしてルームキーを受け取り部屋に入るが、「空港での検査結果が出るまでは待機しているように」と指示を受ける。しばらく待つと電話が鳴る。
「あなたはネガティブ(陰性)です」
英語での連絡が入ったあと、正式にチェックインとなった。ここで陽性という結果が出ていた場合、ホテルを出てしかるべき施設に移ることになっていたのだという。
空港とホテル間に限らず、「クローズド・ループ」とも言われるこのシステム内に入れば、ホテルと競技会場、報道施設と専用交通機関の中で期間中は過ごさなければならない。先に入っていた報道関係者からは、「これがあと3週間以上続くのか」との嘆きも聞こえる。ホテル周辺に昼も夜も警備車両と警官がいることもそうだが、昨夏の東京五輪で入国後の隔離期間中にもかかわらず外出する、陽性者が隔離施設から出かけるといった「抜け道」が問題となったのとはまったく異なる。そして対策を施すことによって、空港到着時の検査をはじめ、すでに少なくない陽性者が現れてもいる。
ただ、ひとこと添えれば、どのスタッフも高圧的なところはなく、淡々と役割を担い、また親切な人も少なくはない。彼らもまた、業務に携わる間はバブルの中で生活をおくる。一般社会と隔絶され日々を過ごしている。