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“羽生結弦のライバル”パトリック・チャン31歳は不動産ブローカーに転身し父親になっていた…羽生、高橋ら日本勢に送ったエールとは?
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by本人提供
posted2022/02/02 11:05
競技引退後の現在は不動産ブローカーとして働いているパトリック・チャン
「ダイスケは最高のパートナーを見つけた」
それでも大会は映像などで追っている。スケートカナダや、カナダ選手権のときはテレビのコメンテーターも務めた。長い間競い合った高橋大輔のアイスダンス転向は、どう思ったのだろう。
「彼が短期間であれほど上達したことは、驚きました。でも実を言えば現役時代に、ぼくたちの中で誰かがアイスダンスに転向するとしたら、ダイスケだな、と思ったことがあるんです。ぼく自身、アイスダンスは面白そうだなと思ったこともあって」
妻のエリザベスとのペアを試したことはないのだろうか。
「ちょっと一緒に滑ってみたことはあるけれど、お互いイライラしちゃうんですよ。トレーニングしていた当時のトラウマなのか、二人とも性格のもっとも悪い面が出てしまうようで」と大笑い。シングルからカップル競技に転向するというのは、容易なことではないのだろう。「ぼくはカナ(村元哉中)とデトロイトの同じリンクでトレーニングをしていたので、彼女のことはよく知っています。性格が良くて忍耐強いカナは、ダイスケにとって、最高のパートナーだと思います。二人には頑張って欲しいです」とエールを送った。
金メダルは羽生とチェンの間で決まる
男子はどう見ているのか。「ネイサンのことは、スケートカナダのコメンテーターをしていた時に見ました。きっちりとまとめて見事な演技でしたね」
羽生は見たか、と聞くとこういう答えが返ってきた。
「彼は今シーズン、活動していなかったのでなかなか見られなかったけど、全日本選手権は映像で見ましたよ。すごく良く調整をしてきていて、素晴らしい演技でした。ちょっと以前ほどスピードがないかなと思ったけれど、オリンピック代表がかかっていたので慎重に滑ったのだろうと思いました」
そして4アクセルへの挑戦は、どう見たのか。
「オリンピックの本番ではアドレナリンが出ますから、ユヅは成功させることも可能だと思います」。自ら3度のオリンピックを経験した元世界王者は、そう分析する。
「4回転の種類はネイサンの方が多く持っていますが、ユヅが4アクセルをきめることができれば、それをカバーできるでしょう」
やはり金メダルは、この二人の間で決まるだろうか。
「100%、そう思います」
「ショウマは銅メダルが取れると思う。あるいはビンセント・ジョウ、いずれにせよ日本かアメリカの誰かがとると思います」