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「藤井聡太竜王、車掌・くいだおれコスプレして“無”になってる…」 観る将マンガ家が描く《1月の将棋ハイライト》
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byJunsei Chida(illustration)/Takuya Sugiyama
posted2022/02/01 17:03
観る将マンガ家・千田先生が描いた「1月の将棋ハイライト」。2021年のイラストは関連記事からもご覧になれます!
藤井竜王にとってデビュー戦となった第1局は、鉄道好きとのことで車掌さんですごく楽しそうでしたが、第2局は大阪だから「くいだおれ人形」、第3局はトウガラシの矢……。やはり藤井竜王いわく「無になりました」とおっしゃったという第2局がとてつもなく衝撃的でしたが(笑)、こういったこともキッチリとこなす姿に、親近感と敬意を同時に感じますね。
世間的には“藤井五冠誕生なるか”が大きく取り上げられそうですが、渡辺王将と言えば2008年の竜王戦で羽生善治九段相手に「3連敗からの4連勝」の劇的防衛を果たしているだけに、今後どうなるか……目が離せません。
なお僭越ながら、個人的な出来事として第1局のタイミングで「テレビ局から“王将戦イラストを描いてくださいませんか?”との依頼を受ける」というトピックが!! かなり急仕上げだったんですが(笑)、それほどまでに注目を集めているんだなあと、1人の「観る将」として嬉しくなる限りでした。
2)藤井竜王の1月の対局を振り返ってみる
藤井竜王の1月の対局についても、もう少し詳しく振り返ってみられればと思います。大熱戦だった王将戦第1局で印象に残ったのは、対局場の様子です。
立会人として森内俊之九段がどっしりと構える姿に格式を感じつつ、会場となった掛川城では、抽選で選ばれたという地元小・中学生の子どもたちが、対局を観戦していました。その姿がカワイかった……。
スポーツでもクラシック音楽などの芸術でもそうかと思いますが、幼少の頃に「本物の現場」に触れる体験は、間違いなく宝物になるはず。藤井竜王は19歳にしてそういった役割を担っているのだなあ……とも感心しました。ちなみに冷静に考えると、藤井竜王と子どもたちの年齢が、10歳くらいしか違わないのもすさまじい話ですが(笑)。
王将戦第2局での「はにたん最中」など、相変わらずの“愛くるしいおやつの一手”も健在だった藤井竜王。先ほど触れた通り王将戦は3連勝としていますが、1月は2敗を喫しました。
まず、王将戦第1局からわずか3日後に行われた順位戦B級1組、千田翔太七段戦(同じ苗字!)です。先手番だった藤井竜王に対して、千田七段が快勝しました。NumberWebで解説してらっしゃる中村太地七段も「先手番の藤井竜王に勝利するとは……」と述べられていたそうで、千田七段から見て、その勝利の価値たるや――と感じます。