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那須川天心vs武尊に触発? 井上尚弥が井岡一翔にまさかのラブコール…“神の左”山中慎介は「実現すればとてつもない試合に」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph bySankei Shimbun
posted2022/01/22 11:03
2016年度のボクシング年間表彰式で乾杯する(左から)井上尚弥、山中慎介、井岡一翔、長谷川穂積。今後、井上と井岡が拳を交えることはあるのだろうか
リング誌のランキングは物差しの一つに過ぎないとはいえ、井上と井岡の試合は世界的に見てもゴールデンカードであることがお分かりいただけるだろうか。強い相手を求め続ける井上が井岡との対戦を望むのは、そういった意味で当然と言える。もし井上と井岡が対峙したら、それこそ“異様な空気”がアリーナを包むことだろう。
ドリームマッチの実現可能性を検証
では、このドリームマッチは実現するのだろうか――。
なんといっても1階級とはいえクラスが違うことは大きなネックだ。ご存知の通り井岡はスーパーフライ級で目下、大みそか決戦が延期となったIBF王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)との統一戦に向けてまっしぐら。その先には4団体統一も見据えており、視界の中に井上が入る余地は今のところない。
ただし、井岡は仮にアンカハスとの統一戦がスムーズに行われたとしても、その先となると簡単ではない。WBAとWBC王座を保持するエストラーダは3月にロマゴンと再戦、その勝者が2月にWBC王座決定戦を争うシーサケット・ソールンビサイ(タイ)とカルロス・クアドラス(メキシコ)の勝者と対戦するのが既定路線となっている。井岡の4団体統一までの道のりはまだ先が長いのだ。
お互いに今の路線でコトがスムーズに運んでいくなら、両者は交わることなくキャリアを進めていくだろう。ただし、統一戦となると簡単に話は進まないし、ましてやコロナ禍である。実際に井上にしても、井岡にしても、ここ数試合は希望する相手と拳を交えているわけではない。もし互いに望むような試合がこの先もできないのであれば、別の選択肢も当然考えるはずだ。その時、日本人同士で試合が組みやすく、ファンの注目が集まり、興行的にも成功しそうなカードは、それこそ「アリ」なのではないだろうか。
この場合、ウエートを上げなければならない井岡が不利な立場になるわけだが、試合をノンタイトル戦にするとか、ウエートで歩み寄るとか、実現に向けてハードルの下げ方はいくつかあるはずだ。