炎の一筆入魂BACK NUMBER
《主力への正念場》137試合出場、打率.286、4番を打ってもレギュラーになれず…カープ西川龍馬がいまだ過小評価される理由
posted2022/01/17 17:01
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
KYODO
レギュラーへの道のりは簡単ではない。手にしたと思っても、するりと逃げることがある。広島・西川龍馬も、いまだ道半ばにいる選手のひとりだ。
佐々岡真司監督は就任3年目のシーズンを前に「レギュラーは本当に白紙。セカンド菊池(涼介)というのは不動かもしれませんけど、あと本当に誰が取るか、楽しみな戦力になったと思います」と発言。そこに、西川の名前はなかった。
まだ27歳。プロ6シーズンで2000以上の打席に立ち、通算打率は.295を残す。それでもまだ、レギュラーと認められていない。なぜ、過小評価されているのだろうか。
15年に社会人・王子から広島に入団。まだ身体の線が細かった1年目からバットでチャンスを切り開いてきた。25年ぶりの優勝を成し遂げた強力打線の中で、新人ながら左の代打として成功率.320と存在感を示した。2年目からは徐々にスタメンの機会を増やし、3連覇した18年は107試合に出場して、打率も3割をクリア。打撃センスは誰もが認めるものがある。それでも、レギュラーをつかみきれない。
なぜレギュラーの座をつかめないのか
適性のある守備位置を見つけられないでいることが理由のひとつだろう。遊撃手としてプロ入りしたが、そのポジションにはすでに田中広輔がいた。先発の機会を得たのは三塁だった。動きの中で一塁送球する本職との違いに戸惑いつつ、代打が主の1年目から徐々に三塁先発の機会を増やした。だが、レギュラー定着かと思われた18年終盤にミスを連発。三塁転向で送球面の課題が露呈した。その年のポストシーズンは巨人とのクライマックスシリーズ3試合、ソフトバンクとの日本シリーズ6試合。計9試合でスタメンはわずかに1試合。しかも一塁での起用だった。
同年オフ、外野にコンバートされた。翌19年は丸佳浩の移籍もあり、主に中堅としてプロ入り後初の規定打席に到達した。だが、20年は開幕前のオープン戦前に痛めた右足首の影響を引きずり、シーズン終盤には「右腓骨筋腱腱鞘形成術」を受け、中堅レギュラー定着はならなかった。
中堅守備の総合力では野間峻祥に及ばない。適性ポジションを広島で探るとすれば、昨季88試合で先発起用された左翼となるだろう。