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青森山田に0-4完敗…大津の新たな生命線はJスカウトも注目の“ツインタワー”?「絶対にいいパートナーになれる」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byAFLO SPORT
posted2022/01/15 11:01
選手権でともに2ゴールを記録し、大津の決勝進出に貢献したFW小林俊瑛(2年・写真左)とFW碇明日麻(1年・写真右)。191cmの長身を誇る小林に加えて、186cmの碇も身長はまだまだ伸びていきそうだ
昨年は両者の思いが交わることはあまりなかった。だが、今年は競争と共鳴こそがそれぞれを成長させ、チームにとってもプラスに働くことは2人ともわかっている。
「僕はとにかく俊瑛さんともっとコミュニケーションを取りたい。その方が試合中に本気で言い合えるし、お互いが成長する。僕は俊瑛さんをリスペクトしているし、なんでゴールが取れる位置にいるのかとか、ロングボールを胸トラップでコントロールする術を教えて欲しい。ゴール前での相手の抑え込み方も聞きたい。聞きたいことが山ほどあるんです」(碇)
「選手権の佐賀東戦で明日麻が決めたゴールは本当に凄まじかった。『なんでいきなり入って、あの場所に走り込めるの?』『なんであんなに冷静にトラップして、正確にミートできるの?』と思っていました。選手権に限らず、明日麻は途中出場でも結果を出す。ポジショニングがいいし、ゴールを決められる場所をきちんと把握している。素直に凄いと思いますし、秘訣を聞きたかった」(小林)
悔しがる後輩の表情に「あんな顔、見たことなかった」
偽らざる感情を吐露した2人の言葉が、そのまま今後の関係性の答えになる。
小林には忘れられないシーンがある。それは選手権決勝後の閉会式が始まる直前のことだった。
「ふと明日麻の顔を見たら、ずっと一点を見つめていた。あんな顔、見たことなかった。その顔を見た瞬間、明日麻も相当悔しいんだと思いました」
スタメンとベンチの違いはあれど、国立で大きな悔しさを共有した者同士だ。新チームの先頭に立って、その経験を還元するのが彼らの使命となる。小林が「クロスへの強さをさらに発揮できるはず」と考える碇とのツインタワー構想や、より近い位置で縦関係を作る共存の形も、平岡和徳総監督の頭のなかには思い描かれていることだろう。
「これから明日麻と会話する量は増えると思うし、増やしていかないといけない。会話を重ねていけば絶対にいいパートナーになれる。明日麻はトップ下に落ちてもボールを捌けるし、スペースに入り込めるので、僕のポストプレーの引き出しをより増やしてくれると思う。ワンツーで崩してのフィニッシュもできるかもしれない。イメージをすればするほど楽しみが広がりますね」
最後に小林はこう微笑んだ。2人の思いが重なることで、鮮やかな未来予想図が描かれる。これからも大きな期待を胸に、彼らが重ねる絆を追いかけていきたい。
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