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「夢に年齢制限はない」遅咲きのフィギュア全米女王マライア・ベル25歳の輝き「4回転も3アクセルもなし。それでも貫禄の演技だった」
posted2022/01/12 11:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
1月7日、フィギュア全米選手権女子では25歳のマライア・ベルが初タイトルを手にした。なんと1927年に26歳で優勝したビートリックス・ローラン以来、95年で最年長の全米女子チャンピオンである。
9回目の挑戦でタイトルを手にした気持ちは、と聞かれると「9年? 私シニアに上がってから9年にもなるの?」と驚いた顔を見せた。このナッシュビル全米選手権は、ベルにとって9年目の全米シニア選手権だった。
「もう諦めようと思ったこともあります。でもだいたい今より若い頃の話ですが。うちの両親は私をプッシュしたことはなかったので、『もうスケートやめようかな』と言うと、『良いんじゃないの』とあっさり言われました」とベルは会見で語った。
「やめたくなったら無理に続ける必要なんてない。もう二度とスケート靴を履かなくても良い。でも今、中途半端にしていることは最後までやってからにしてね、と言われたんです」
そう言われると「自分には本当にスケートをやめる準備ができているか……もう少しやろうかな」という気持ちになった。そうしてこれまで続けてきたのだという。
オミクロンなどで欠場者続出の“波乱の大会”に
この全米選手権では、欠場者が続出した。
昨年のチャンピオン、ブレイディ・テネルは、現在でも原因の良くわからない足の痛みに苛まれて開催数日前に欠場を発表。
過去に2度全米タイトルを手にした16歳のアリサ・リュウはSP3位になった後、コロナ簡易検査で陽性の結果が出て、棄権を余儀なくされた。ちなみに検査は規定で4日間に1度、関係者全員に課されていたもので、症状があったわけではないという。
本大会中にアンバー・グレン、前年の全米ペアチャンピオンのブランドン・フレイザーなど、他にも数名の選手の陽性が発覚し、続々と棄権が相次いだ。