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[32歳のシーズンを語る]錦織圭「まずはいち早く、トップ10に戻りたい」
posted2022/01/09 07:02
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Asami Enomoto
1年前の記者会見で錦織圭は「1日1日の小さな努力を忘れずに。その先は見ていない」と語った。この頃は右肩の新たな故障にも悩まされ、復調への歩みは道半ばだった。そうして迎えた2021年は、東京五輪で世界7位のアンドレイ・ルブレフに快勝するなど、後半戦では彼らしさも見せた。だが、腰の故障もあってランキングは40位台にとどまり、道半ばの状況は変わらない。日々の努力が報われず、心が波立つ瞬間はないのか、残りのテニス人生をどう見通しているのか。そんな話を聞こうと、彼の前に座った。まずは昨季の振り返りから。
「やっと(結果が)出てきたのは後半、夏からの数大会ですけど、いい感覚では終われたので、これがなかったら結構悩んでいたかもしれない。戻ってこれたので気持ち的には若干晴れやかというか、曇りではないので、そこはホッとしています。でも、大変な1年でしたね。ここまで苦悩する1年というのもなかなかなかった」
シーズン開幕直後に復帰したが、復調には時間がかかった。勝って当然と思われた相手に苦戦し、ここで勝てば波に乗れるという試合を落とすことが何度かあった。
「上位には、自分の調子がまだ戻っていないので(勝てなくても)仕方ないと思っていたけど、中堅に勝ったり負けたりで。調子が戻っていないのでしょうがないとは思いつつ、簡単に勝てないもどかしさと、勝てないから自信が戻ってこないというのがありました。昔だったら30位から100位の選手にコンスタントに勝って調子を取り戻していたので、そこがなかなか難しかったなと思います」