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[36歳、3部からの挑戦]畠山健介「帰ってきた空飛ぶ横綱」
posted2022/01/09 07:03
text by
藤島大Dai Fujishima
photograph by
Akito Iwamoto
現役最多の78キャップを誇るベテランが、3シーズンぶりに日本復帰を果たした。イングランド、そしてアメリカでもプレーした歴戦のプロップが新リーグに懸ける思いとは。
落胆を高揚へ変えるのは矜持である。そいつがあれば試練にも実力を磨ける。
畠山健介を書くのだが畠山健介のことではない。豊田自動織機シャトルズ愛知についての書き出しだ。リーグワンのディビジョン分けで「3部」を告げられた。トップリーグのひとつ下のトップチャレンジリーグ1位、いわば「2部の覇者」であったのに審査はなんともつれなかった。
気持ちは沈む。当然だ。でも誇りを抱いて前を向く。これも当たり前だ。ラグビーと人生は続くのだから。
そこへ空飛ぶ横綱がやってきた。だれが呼んだか「フライング・ヨコヅナ」。ジャパンで78キャップ。アンカー(船をぐらつかせぬイカリ=右プロップ)として、その数だけのテストマッチに出場してきた。無慈悲な巨人国、南アフリカの猛者に「まさかこんなことが」と人間の深みを教えた痛快もある。2015年9月の出来事だ。
あれから6年、2021年の10月、シャトルズへの入団が明らかとなった。
「ディビジョン1、2と比べても、選手の能力で劣るわけではない。ポテンシャルはあります。そこにコミットできて楽しい」
本拠のある愛知県刈谷市に単身赴任で暮らす。この日の午前も近隣の小学校で鬼ごっこのようなタグラグビーの講師を務めるチーム活動に励んだ。