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20歳で母国ドイツからNBA挑戦…ダーク・ノビツキーが過ごした最高の21年間、今もダラスの街で愛される「41」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2022/01/05 11:02
引退から2年、ノビツキーが背負った「41」は永久欠番とされることになった
「ドイツを19〜20歳で離れたときに、20年の間にダラスでこれだけのことを成し遂げると言われたら、『なにバカなことを言っているんだ。そんなことが起こるわけがないだろう』と言ったと思う。それぐらい、夢のようなキャリアだった。すべてがうまくいった。ひとつの町に留まり、長くコミュニティに関わることができ、マブズという組織にも関わることができた。
この前、マブズの試合に行ったときにノビツキーウェイを右折したのだけれど、未だに不思議な気分だ。自分の名前がつけられた通りがあって、天井にユニフォームが吊るされ、そのうち、アリーナの正面におかれた銅像を見ることができるようになる。すべてのことを、とても誇りに感じている」
移籍が日常になったなかで、現役21シーズンをすべて、マブズで過ごした一番の理由として、ノビツキーはマーク・キューバンの存在をあげる。
ノビツキーがマブズに入って2年目にマブズのオーナーとなったキューバンとは、お互い信頼する親友同士だ。キューバンがノビツキーをチームのスーパースターとして大事にしたように、ノビツキーもマブズを自分の居場所と決め、うまくいかないときでも見捨てることはなかった。
優勝することができていなかったら……
「ここに留まり、生涯マーベリックス選手、そしてマーベリックス・ファンであり続けることは簡単なことだった」とノビツキーは言う。
「チームを離れる理由がひとつだけあったとしたら、優勝できないことだけだった。もし優勝できていなければ、キャリアの終盤に優勝指輪を求めて(移籍して)いたかもしれない」
2011年にNBA優勝を果たしたことで、ノビツキーの「もし……」は、仮定の話のままで終わった。
「2011年ダラスで優勝することができたから、他に行って(優勝)指輪を追い求める必要がなくなった。すべてが完璧なぐらいうまくいった。21年間、すばらしい町とすばらしい組織を代表することができてうれしい」