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《24歳で戦力外→巨人と育成契約》都立の星・鈴木優の心を支えた、宗佑磨との友情「優がいないと寂しいし、悲しい」
posted2021/12/28 11:10
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph by
Taichi Chiba
「嬉しかったですよ。テレビの前でファンの方々と同じ目線で応援していました。一緒にやってきた仲間の活躍は素直に嬉しかったです」
小雨降る12月初旬。“元チームメイト”の躍進を見届けた鈴木優(24歳)は、一人、東京・世田谷にある駒沢球場にいた。
練習着を詰め込んだ大きなスーツケースを手にした鈴木と入れ替わるように球場を後にしたのは、地元の野球少年たち。彼らの掛け声で熱気を帯びていたはずのグラウンドは、いつの間にか静まり返っていた。
「来季は契約しません。今までありがとう」
鈴木がオリックスから「戦力外」を告げられたのは、チームが25年ぶりのリーグ優勝へ奔走する10月上旬のことだった。
プロ6年目で初勝利「都立の星」
2015年に都立雪谷高校からドラフト9位でオリックスに入団。プロの壁にぶつかりながらも、打者の手元で小さく変化するツーシームを軸に、伸びのあるストレートや大きく曲がるスライダー、落差のあるフォークを駆使する投球で頭角を現し、プロ6年目の昨年7月1日西武戦で念願の初勝利をマークした。
森友哉、山川穂高を連続三振に仕留めたピッチングもさることながら、都立高校から高卒でプロ入りした選手として史上初めて挙げた白星とあって、翌日の新聞には「都立の星」の文字が躍った。
しかし、今季序盤戦から11試合に登板するなど活躍を期待されたが、防御率9.00と振るわず、その後は二軍での生活を余儀なくされた。山本由伸を筆頭に多くの若手投手がひしめくチーム事情の中で、後塵を拝した格好となった。
「いい感覚のときのフォームをなかなか取り戻せなかった。悪い形が一度体に染み付くと、シーズン中にそこから抜け出すことは簡単ではなかった。だから今回、自由契約になったことで、ある意味開き直れたというか、もう一度リセットして自分の思う形で投げようと練習してきました」