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『ウマ娘』は有馬記念でのオグリキャップ“伝説のフィナーレ”をどう描いたか? 制作陣の情熱が生んだ「オグリだけのストーリー」

posted2021/12/24 17:05

 
『ウマ娘』は有馬記念でのオグリキャップ“伝説のフィナーレ”をどう描いたか? 制作陣の情熱が生んだ「オグリだけのストーリー」<Number Web> photograph by Cygames, Inc./KYODO

(左)『ウマ娘』のオグリキャップ(右)1988年の有馬記念を制した際のオグリキャップ

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屋城敦

屋城敦Atsushi Yashiro

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Cygames, Inc./KYODO

12月26日の有馬記念に先立って、『Number Web』では1990年以降の有馬記念を対象に「あなたの心に残るベストレース」というテーマでアンケートを実施。計1137票の投票が集まり、オグリキャップが有終の美を飾った1990年の有馬記念が217票で2位にランクインした(#1で6~10位の結果、#2で1~5位の結果を公開中)。“伝説のラストラン”と称される同レースを、大ヒット中のアプリ『ウマ娘 プリティーダービー』ではどのように描いているのだろうか。

 2021年は、競馬界にとっても大きな変化があった1年となった。

 2月に配信開始されたアプリ『ウマ娘 プリティーダービー』(以下、『ウマ娘』)は、それまで競馬に興味の無かったファンを取り込み、瞬く間に1000万ダウンロードを突破。プロジェクト自体は2016年からスタートし、一定のファンを集めていたが、アプリ配信後に大きく“跳ねた”。テレビアニメやコミックなどのメディアミックス展開も好調で、キャラクターを演じる声優たちによるライブパフォーマンスも注目を集めている。NHKなどの音楽番組にも呼ばれるようになり、彼女たちが出演するたびにSNSの注目ワードが『ウマ娘』関連で染められていた。

 そうして新たに加わった競馬ファンは、イラストや動画を駆使して交流の輪を広めたり、各種イベントや引退馬協会のバースデードネーション企画への参加など“応援”活動に積極的なのが特徴だ。日本競馬は1990年の日本ダービー“ナカノコール”をきっかけにスポーツ化していったと言われているが、『ウマ娘』をきっかけにした応援スタイルの変化はそれ以上の衝撃かもしれない。この数カ月で生まれた変化の波は、競馬場で見られるものではない上にあまりに急激で深く掘り下げられていないものの、今後確実に競馬界に変化をもたらすことになるだろう。

『ウマ娘』においても有馬記念は特別なレース

 そんな熱いファンを生み出した『ウマ娘』においても、年末に行われる有馬記念は特別なレースとなっている。ゲーム内で描かれる物語は基本的に史実をなぞっていて、歴史的な名馬たちをモチーフとしているウマ娘(キャラクター)にとって、有馬記念はそのキャリアの最終章に登場する大きな難関となるからだ。

 12月22日に“育成ウマ娘”として追加され話題を呼んでいるタマモクロスを始め、シンボリルドルフ、オグリキャップ、トウカイテイオー、ナリタブライアン、マヤノトップガン、グラスワンダー、テイエムオペラオー、ダイワスカーレット、ゴールドシップなどなど、激闘を制した歴代の優勝馬たちはもちろん、史実では惜敗を喫した名馬たちの物語も熱く語られている。

 今回はその中からオグリキャップの有馬記念をピックアップして紹介しよう。

【次ページ】 ファンに愛された“アイドル”のフィナーレはどう描かれたか?

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