「後輩をいじめたり、使いっぱしりにすることもない。それに人の悪口も言わんでしょ、新庄は今でも。何人かでそんな話になってても、決してそういう雰囲気にも乗らない。彼がプロに行ってから、ウチの野球部バスを寄付してくれたり、いろんな援助をしてくれてますが、そうやってやってもらってるから、いいことばっかり言ってるわけじゃないですからね（笑）。プロに行ってからの新庄は、いろんな意味で目立ってたから、いろんなこと言う人いますけど、僕らにとっては誰にでも文句なしで誇れる自慢の存在でしかないですね、新庄という男は」

　そういう西村監督自身、かつてのそういった過酷を超えるほどの練習と、理不尽さが散見される寮生活を、なんとか「正常」なものにしようと心を砕いてきた監督生活だったという。

「新庄自身もそういう高校野球生活がベースになっているから、野球を楽しもう、野球は楽しいんだ……みたいなことを盛んに言ってるのかもしれませんね」

「寮の部屋が驚くほどキレイだった」

　意外な一面もあったという。

「寮の部屋を“これが球児の部屋なのか！”っていうぐらい綺麗にしてましてね。あれだけ、練習と授業で時間ないはずなのに、いつの間に整頓しとったんですかね」

　これは、あるスカウトの方の話だが、寮生活してる選手の場合、必ず部屋を見せてもらうと言っていた。部屋の様子を見れば、整理整頓の具合、本棚の本の種類、壁に貼ってあるもの……その選手の今と、ヘタすると「半生」までも透けて見えるという。

「自分のことは、自分でしっかりやれるヤツっていうことなんでしょうね。今の自分の立ち位置、持っているビジョン、そのための準備……そういうことが自分でちゃんとわかってるから、普通の人から見たら好き放題やってるように見えても、大きく外してこなかった」

「プロ野球の監督は意外と“天職”かもしれない」

「プロ野球監督・新庄剛志」には、西村監督もワクワク感しかないと言う。

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