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高校入学時は158cm…「マメ」と呼ばれた又吉克樹が“独立L出身のFA移籍第1号”になるまで《中日→ソフトバンクへ》
posted2021/12/23 17:03
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Nanae Suzuki
前中日の又吉克樹投手が、ソフトバンクにFA移籍した。背番号14の4年契約は、総額6億円と報道されている。通算400試合に登板し、41勝26敗10セーブ、143ホールド、防御率2.86の好成績。60試合以上登板したシーズンが4度もあり、2021年の防御率1.28は、キャリアベストだった。
移籍会見では「パ・リーグ野球で学ぶことは絶対ある」が決め手になったと明かし、ドラゴンズ時代と同様に“便利屋”になると宣言した。SNSでの発信力にも定評があり「又吉広報」の名でファンに親しまれてきたが、ホークスでも引き続き「広報活動」を継続していくことも明言した。
独立リーグ(四国アイランドリーグ・香川出身)初のFA移籍。又吉自身もそのことに誇りをもっていると語ってきた。
「FA権を手にした選手はこれまでもいましたが、宣言したのは僕が第1号。そこは強く意識していましたし、この後に続く選手の励みにもなればと考えました」
高校入学時は身長158cm、体重は50kg未満
又吉は雑草である。ただし、ドラフト2位で中日に指名されている。この時点で「独立リーグ出身者として最高順位」であり、ドラゴンズは即戦力投手だと期待していた。この評価に誤りはなかったのは、入団1年目から3年連続で60試合以上に登板したことで証明されている。雑草だったのは、むしろ独立リーグ以前。又吉には「マメ」と呼ばれていた時代がある。
沖縄県の西原高校。甲子園出場歴のない県立高校の野球部で、又吉の役目は打撃投手だった。入学時の身長は158cm。体重も50kgに届いていなかった。小柄だから「マメ」。200球近く投げ、気持ちよく打たせる毎日だった。
「オーバースローだと疲れる。だから肘を下げて投げるうちに、サイドスローになったんです」
結果として、フォームの原型はできあがった。もう一つの副産物がスタミナ。「投げまくっても大丈夫といえるだけの肩ができあがった」。しかし、最後の夏もエースナンバーはつかめず。リリーフでの登板はあったが、沖縄県大会2回戦で散った。