しかもこのシーズン好調で、グランプリファイナル3位になった中野（ポイント順で4位）の存在もあり、「中野の方がよいのでは」と述べる記者もいるほどだった。代表発表の記者会見でも質問が出た。同時に発表された世界選手権代表に、村主、荒川に加えて安藤ではなく中野を選んだところにも、中野を評価する向きもあったことがうかがえた。

　大会を終えて、おさまりがつかず混乱をひきずることになったのは女子だった。メディアをはじめさまざまな批判が飛び出たのだ。「不透明」などと表現する記事も出るほどだった。さらに全日本選手権の採点のあり方についての言及も見られた。

トリノ五輪代表について「安藤ではなく中野」という声も少なくなかった　©Takuya Sugiyama

男子も女子も揉めた16年前の全日本フィギュア

　男子も女子も、すっきりしない形で終わった全日本選手権。ここまで注目され、一般メディアなどでも（特に女子は）トリノ五輪直前までひきずることになったのは、やはりオリンピック出場が懸かる大会だったからだろう。その分、負荷がかかる選手もいて、大舞台へすっきりと向かえなかった面は否めない。

　いずれにせよ、常に重みのある全日本選手権の中でも、4年に一度の大会ならではであることを、それらの騒動は示していた。