《ライダーのお金にまつわる伝説》18歳ノリックは「お父さんと相談してから来てね」とポルシェを買えず…ロッシやマルケスの年収は？

　WGPトップカテゴリーのMotoGPクラスは、いわば秘密の塊で、マシンのカウルの内側には門外不出の技術と情報が詰まっている。それはライダーの契約についても同様で、契約条項の中に“他言無用”という厳しい項目があり、トップシークレットになっている。

　そのため、昨年のチャンピオンであるスズキのジョアン・ミルはいくら稼いでいるの？　今年のチャンピオンのファビオ・クアルタラロは？　といったことがなかなか話題にならない。野球やサッカーなど他のプロスポーツでは、賞金やスポンサーとの契約金額がニュースになるのに、WGPでそういう話が漏れてこない理由を勘ぐれば、実はそれほどもらっていないからではないか？　と思ったりする。

　最近はなかなかないのだが、長年この仕事をしていると、ライダーたちから秘密厳守ということで直接聞けることもあるし、メーカーの担当者から聞けることもある。もう時効だから書いてもいいと思うのだが、21年シーズンを最後に引退したバレンティーノ・ロッシがホンダからヤマハに移籍した2004年の契約金は800万ユーロ（当時の換算で10億4000万円）だった。その後、ロッシがいくらもらっているのかを聞けることはなかったが、チャンピオンを獲り続けたロッシのヤマハでの最高額は2000万ユーロと言われ、ヤマハのレース予算の半分がロッシの契約金だと言われた時代もあった。

稼ぎでもレジェンドだったロッシ

　メーカーとの契約金に加え、パーソナルスポンサーからの莫大な契約金もあって、ロッシはバイク選手として初めて世界のスポーツ選手の収入ランキングに入ったこともある。ロッシのTシャツや帽子などグッズの売り上げのロイヤリティが、年間700万ユーロだったという話を聞いたこともあり、そういった副収入のすごさにも驚かされた。ロッシはコース上で多くの記録を樹立してきたスーパースターだが、この手の話題でも、2輪界ではライバルの追随を許さないものがあった。

21年の最終戦後、チームの集合写真に収まるロッシ。バイクレース界を明るく照らした真のレジェンドだった　©Satoshi Endo

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　そのロッシに続いて、グランプリ界の絶対王者として君臨したホンダのマルク・マルケスの稼ぎは？　というのも常々話題になってきたが、これが、なかなか漏れ聞こえてこない。

　2020年、マルケスはホンダと4年契約を結んだ。一体、いくらで契約したのだろうと話題になったが、4年間という長期契約はこの世界では異例であり、4年契約するからにはチャンピオンを獲得してもしなくてもこれだけ払いますというグロス契約ではないかと言われた。それまでマルケスがもらっていただろう1000万ユーロ前後という金額から推測すれば、年間2000万ユーロというのが妥当。その4年分ということで8000万ユーロ（現在のレートで約104億円）あたりだろうか。この推測がまったく外れていたとしても、それくらいはもらっていてほしいというのが、レースファンの願いではないだろうか。いずれにしても、マルケスもロッシ同様、スポンサーとの契約料を含めれば、相当な金額を手にしていることはまちがいない。

　スーパースターたちの景気のいい話題は夢があっていい。世界を目指す若い選手たちの励みにもなるのではないだろうか。一方で、現在グランプリに参戦する日本人ライダーの現状はどうだろうか。

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