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ロックンロールとしてのベースボールBACK NUMBER
“クールな音楽球団オリックス”という独創性 「歓喜の歌」「若者のすべて」「終わらない歌」…過激で鮮烈で豊かなセンス
posted2021/12/26 17:04
text by
スージー鈴木Suzie Suzuki
photograph by
Hideki Sugiyama
このたび、NumberWebで連載をさせていただくことになりましたスージー鈴木です。音楽評論家、ラジオDJとして活動しながら、一方で「野球文化評論家」という、ちょっと変わった肩書きも持っております。よろしくお願いします。
さて、今となってはちょっと懐かしい今年の日本シリーズ。11月20日(土)、京セラドーム大阪での第1戦は、吉田正尚の劇的なサヨナラ安打で、オリックスの勝利に終わった。
試合そのものについては、このNumberWebでも詳細に報じられたと思うので、野球文化評論家としては、この試合に関連しながらも、別のちょっと瑣末な話をしたい。
勝利の瞬間、京セラドーム大阪に流れたのはフレデリックの『オドループ』という曲。神戸で結成された4人組バンド=フレデリックによるこの曲は、女性2人が不思議なダンスをするMV(ミュージック・ビデオ)で知られた曲で、2014年にYouTubeにアップされた動画は、現時点(12月24日)で、何と9976万回も再生されている。
そして次に流れたのが、何とベートーヴェンの交響曲第9番第4楽章、いわゆる「第九」の『歓喜の歌』だったのだ。
注目したいのは、それぞれの楽曲の詳細ではなく、フレデリック『オドループ』→ベートーヴェン『歓喜の歌』という流れである。ハチャメチャと言えばハチャメチャだが、視点を変えれば、こんなに過激でクリエイティブな選曲もないだろう。
「花火ナイト」の最終戦で流れた『若者のすべて』
さらにちょっと懐かしく、さらに瑣末な音楽話。9月9日(木)、ほっともっと神戸で行われたオリックス対千葉ロッテをテレビ観戦した。その試合は、神戸における「花火ナイト」の最終戦だったのだが、花火のタイミングで、フジファブリックの『若者のすべて』(07年)が流れたのだ。
――「♪最後の花火に今年もなったな」「♪何年経っても思い出してしまうな」
もともと名曲として人気が高かったのだが、この曲を作ったメンバーの志村正彦が2009年に亡くなったことで、この曲の伝説性はさらに高まった。そんな経緯で「最後の花火」を歌う「夏の終わりの定番」となったこの曲を、オリックス球団は選曲したのである。
付け加えれば、オリックス・バファローズが誕生した2005年に発表された球団応援歌、MEGA STOPPER『SKY』は、公式「球団歌」「応援歌」界を代表する、屈指の名曲だと考えている。