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〈スターダム〉“永遠のライバル”キッドとAZMがついに激突…王座戦3wayマッチを前にAZM「同じリングにいるだけで楽しい」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/12/17 11:03
11月27日の国立代々木競技場第二体育館大会にて、キッドに挑戦表明をしたAZM
“3way”はキッドにとって特別な試合
3wayという試合形式は、キッドにとって乗り越えなくてはいけないものでもある。昨年7月、AZMがベルトを巻いた3wayで3カウントを取られたのがキッドだった。その時のチャンピオンは里歩。そして里歩が戴冠したのも、3wayでキッドに勝ってのことだった。
「チャンピオン不在の決着で、しかも私の負け。勝ったほうはおいしいけど負けたほうは踏み台みたいなもの。悔しいなんてもんじゃない。チャンピオンとして3wayを制して、昔の自分じゃないってことを見せたい。ハイスピードに“元”チャンピオンはいらない。今のチャンピオンのスターライト・キッドがいればいい」
職人肌のAZM、“闇”の魅力を携えたキッドのライバルストーリーに天才と讃えられるコグマが加わり、大一番は複雑な様相だ。AZMが言うように誰が勝ってもチャンピオンにふさわしいことに変わりはない。さらにその先も、AZMには見えている。
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「3wayでもいいし、今回はキッドから取らなくてもいいです。理由? キッドとは同じリングの上、同じ空間にいるだけで楽しいので。それにキッドとはこれで終わりというわけじゃない。というか私が終わらせないです」
「AZMvs.スターライト・キッド」の物語の行方
12.29両国大会では林下詩美vs.朱里のワールド・オブ・スターダム選手権、中野たむvs.上谷沙弥のワンダー・オブ・スターダム選手権をはじめ豪華なカードが並ぶ。その中で強い印象を残したいという気持ちももちろんあるが、AZMとしては「AZMvs.スターライト・キッド」が今以上の看板カードになるとも考えている。
「来年、もっと機が熟す時が来るんじゃないですか。そこでいよいよシングルかなって。赤いベルト(ワールド王座)や白いベルト(ワンダー王座)を差し置いて、AZMvs.キッドが大舞台のメイン。私たちがシングルで闘うのは、そういう場面が似合うような気もするので」
マイクを持っての自己主張はあまりしない。「マイクアピールは昔さんざんやったから、その反動で今は人に任せちゃってる感じもありますね」とAZM。だがそれは“野望”がないということではないし、相手がキッドとなればなおさらだ。来年いよいよ20歳。そろそろ“キャリアに年齢が追いついてくる”頃だろう。いや、むしろ彼女の場合、ベテラン選手とは逆の意味で「年齢はただの数字にすぎない」と言うべきか。
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