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このポスター、選手が作ったの? 異色の“デザイナー兼Vリーガー”が伝えるチームの魅力「バレーボール以外でも力になりたい」 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph bySafilva Hokkaido

posted2021/12/16 06:01

このポスター、選手が作ったの? 異色の“デザイナー兼Vリーガー”が伝えるチームの魅力「バレーボール以外でも力になりたい」<Number Web> photograph by Safilva Hokkaido

札幌市内の街中にポスターを見つけ、笑顔で写真に収まる柳川大知。仕事をしながらプレーする仲間たちの思いをデザインに込めた

  もう一つ、柳川の背中を押した出来事がある。

 2021年3月、柳川を含む同業者2名で出品した作品が『カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル』(通称カンヌライオンズ)における、30歳以下を対象とした部門で最終候補の17チームに残ったのである。

 カンヌライオンズはOne Show、クリオ賞と並んで世界3大広告賞の一つといわれており、その若手部門のアワードもまた世界最高峰のコンテストだ。ここでの入賞は、若手デザイナーの登竜門で、多くのデザイナーがカンヌライオンズでの受賞を目指している。

「その世界最高峰のアワードの作品を見て、自分もそこを目指したいと思いました。今年の3月、バレーボールのリーグ戦が終わったあと、1週間、寝ずに作品を仕上げて応募しました。最終候補に名前が挙がったときにはうれしかったですね。ヤングカンヌの候補に残ったことは自分にとって大きかった。残ったことで能力がアップするわけではないけれど、ひとつ、自分の力が認められたということで、自分の発想に自信が持てたというのはあります」

 その後、本格的にデザイナー、アートディレクター、プランナーなどの仕事を請け負うようになった。リーグ戦の期間である現在は「バレーの練習と試合に支障がない時間でデザインの仕事をしている」と、競技者であるほうに重心を置いているそうだ。

「いずれはサフィルヴァだけではなく、他のチーム、他の競技、他の分野での広告の仕事もしてみたいですね。とにかく広告の仕事が好きですし、バレーボールの能力以外でもサフィルヴァの力になりたいと思っています」

大事なのは「外からどう見えるか」

 ところで、デザインをする上で、プレーヤーとしての視点はどのように生きているのだろうか。

「ひとつの広告として考えたときに、外から見てどう見えるかというのが大事だとは思っています。でも、どうしてもプレーヤーとしての考えが入ってきてしまう。今回のポスターのデザインでコピーにいちばん力を入れたと話しましたが、『GO BEYOND IMAGINE』は直訳すると『想像を超えた場所へ行こう』という意味なんですけど、サフィルヴァというチームの思いを表すのに最適だと思って、このコピーにしました。サフィルヴァの経営状況とか運営側の努力とか、『バレーボールを通じて地域に貢献する』という運営の理念、選手が働きながら、でもバレーをしたいと言って頑張っている姿を近くで見ているからこそ生まれたコピーなんです」

 2016年にバレーボール部門が発足し、昨シーズンからディビジョン2に昇格したものの、サフィルヴァにはいまだに他の仕事を続けながら活動している選手は多い。限られた練習時間の中で、トップカテゴリーであるディビジョン1を目指すのは、決して容易な道ではないと柳川も理解している。

 だからこそ何か力になりたい。

【次ページ】 集客につなげる仕組みにも意欲

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