バレーボールPRESSBACK NUMBER
バレーFC東京、突然の「活動休止」に選手の本音は? 長期離脱中のリベロ古賀太一郎は仲間に問いかけ「思っていることを吐き出せ」
posted2021/12/14 11:02
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
JVA
20時を過ぎた体育館に、2年ぶりに響き渡るチャント。
12月12日、天皇杯バレーボール全日本選手権大会男子準々決勝・ウルフドッグス名古屋対FC東京。声の主は、FC東京のリザーブの選手たちだった。
コロナ禍では声を出しての応援はできず、ホームゲームでもサポーターたちはチャントを歌うことはできない。でも今だからこそ、自分たちが歌おう、とFC東京の選手たちは会場に一体感を生み出した。
結果はセットカウント1-3、ウルフドッグス名古屋が勝利を収めた。しかしFC東京は、スタンドからチャントに合わせて起こる手拍子に後押しもあって、劣勢から何度も盛り返した。
本職はアウトサイドヒッターながら、今大会からリベロに抜擢された谷口渉を中心に「食らいつく」という表現にふさわしい粘りのディフェンス。必死につないだロングラリーを制する渾身の一本など、6本のサービスエースを含む活躍を見せたFC東京の長友優磨は試合後、「ずっと声を出し続けたらこうなった」と苦笑いを浮かべながら、かれた声で言った。
「去年はこの応援が聞けなくて僕らも寂しかったですが、何より、サポーターの方々が歌いたい、と思っているはず。だったら、これで最後なら、僕たちが発信して会場を巻き込もうよ、と。ベンチの選手が歌うって新鮮ですけど、すごく嬉しかったし、負けたけど、楽しかった。やっぱりこれがFC東京なんだな、って改めて思いました」
これで最後――。FC東京バレーボールチームが、今季限り、2022年5月での活動休止を発表したのは、この試合のわずか4日前のことだった。
選手が知ったのは正式発表の前日
突然の活動停止、休部という重い決定。選手たちは正式発表の前日、12月7日の練習を終えた後にフロントスタッフからそれを告げられた。寝耳に水とも言うべき事態に、栗山英之主将は戸惑いしかなかったと振り返る。
「まさか自分たちが、と。大学を卒業して6年、僕はFC東京でやってきました。自分がいるチームがなくなるなど考えもしなかったし、正直、びっくりしました」
なぜ今、この決定に至ったのか。サッカーのFC東京を運営する東京フットボールクラブでバレーボールチームの部長も務める鈴木尚文氏が天皇杯初日に取材へ応じ、「あくまで現時点でわかっていることだけ」と前置きしてその理由を述べた。